アットマーク・ベンチャー(@ベンチャー、大津山訓男代表取締役CEO)、アルゴ21(太田清史社長)、ソフトブレーン(松田孝裕社長)の3社は、ホテル業界向けのトータル業務システムを共同開発し、3月から販売を開始する。顧客ごとにシステムを構築するのではなく、アプリケーションをメニュー化してASPサービス形式で提供する。ユーザー側に運用の負担をかけず、初期投資負担の軽さと導入期間の短さを強みに、ホテル市場を3社で開拓する。@ベンチャーは、ホテル以外の他業種にも、ASP形式の業務処理サービスを拡大する計画。個別のシステム構築が一般的だった業務システムの世界にも、ASPの波が着実に押し寄せている。

販売、顧客管理から営業支援まで

 共同開発したアプリケーションサービスのメニューは、社員の勤怠管理や顧客情報管理、宿泊および婚礼・宴会管理、営業プロセス改善ツールなどを用意する。ホテル経営に必要なITサービスをすべて網羅するという。単一のアプリケーションをASPで提供するサービスは多いが、「バックオフィスからフロントオフィス機能までメニューをそろえ、ASPで一括提供できるのは今回が初めて」(@ベンチャーの大津山代表取締役CEO)となる。

 顧客の要望に沿って、一からシステムを開発すると初期投資がかさみ、開発期間も長期を要することから、ホテル業には向かないと判断。アプリケーションを期間限定で貸し出すASPで提供することにした。顧客企業は、使いたいアプリケーションサービスをメニューのなかから選択して利用する。販売は3社がそれぞれ行う。

 独自の専用技術を使うことで、一度アプリケーションをダウンロードすれば、期間内はオフラインでも利用できる仕組みを備えるため、常時インターネットにつなぐ必要はない。また、従来アプリケーションをASPで提供するには、ソフトをASPサービス用に手直しして提供しなければならなかったが、このシステムではその必要はない。

 利用料金は、初期費用とそれぞれのアプリケーションの月額利用料金。利用料金は、1アプリケーション1クライアントで月額2万円程度を予定している。ホテルが単独でシステム構築するのに比べ、約30分の1の価格という。

 @ベンチャーは、ホテル向けにITアウトソーシングサービスなどを提供しており、アルゴ21は、ホテル向け業務パッケージソフトを展開するなどホテル業向けシステム構築に強い。一方、ソフトブレーンは営業支援ソフトが得意。3社はそれぞれホテル業界向けの営業開拓に力を入れてきたが、3社の強みを合わせASPサービスとして提供したほうが販売を伸ばせると判断。思惑が一致し協業に至った。

 3社の具体的な役割としては、@ベンチャーがシステムの運用およびコンサルティングサービスを提供し、アルゴ21が婚礼・宴会管理システムと宿泊予約パッケージを提供、ソフトブレーンが営業支援ソフトを提供する。ただ、婚礼・宴会システムについては、アルゴ21のパッケージだけではなく、「他社のパッケージをメニューに加える可能性もある」(大津山氏)という。

 アライアンスを主導した@ベンチャーでは、今回のホテル業だけでなく、他の業種でもこうしたASPサービスを提供する考え。それぞれの業種に強いアプリケーションソフトベンダーと組んでサービスメニューを用意し、システム構築に比べ、導入期間が短く初期投資が軽いメリットを訴え「ASPによる“オンデマンドサービス”をIT産業の主流にする」(大津山氏)計画だ。

 企業向け情報システムはこれまでシステムは個別に開発し、顧客企業が運用するのが一般的だった。業務システムの機能をすべてASPで提供する今回のビジネスモデルは、“オンデマンドサービス”が普及するかどうかの1つの試金石となりそうだ。