【上海発】2005年9月に日本法人を設立して日本上陸を果たした中国の大手ソフトウェアメーカー「金山軟件(King Soft)」は、日本市場への参入キャンペーンとしてセキュリティ対策ソフトの100万本無料ダウンロードキャンペーンを実施していた。その100万本ダウンロードは06年2月、関係者の予想を上回るスピードで達成された。

 中国の大手ソフトウェアメーカー「金山軟件(King Soft)」の日本法人であるキングソフトは05年9月14日、中国国内で開発、販売されてきたセキュリティ対策ソフト「金山毒覇」の日本語版である「キングソフトインターネットセキュリティ2006」をリリースした。

 東京で開催された製品発表会には、同社の広沢一郎社長のほか、雷軍(らいぐん)CEOをはじめとする中国本社の幹部も出席し、日本市場攻略に並々ならぬ意気込みを感じさせた。

 「金山毒覇」は、中国で00年に正式リリースされて以来、500万人のユーザーが利用しているセキュリティ対策ソフトだ。アンチウイルス、ファイアウォール、アンチスパイウェアなどの機能を備えており、特に中国国内で発生するウィルス対策に優れているのが特徴だ。またパターンファイルのアップデートが週に17回行われ、サイズが15MBと小さいことから、中国ではトップクラスのシェアを誇っている。

 しかし、日本のセキュリティ対策ソフト市場は大手4社がシェア96%を占めており、中国でいくら実績があっても、日本で新規参入を果たすのは容易ではない。そこで同社は、日本市場参入キャンペーンとして、05年9月14日16時から100万本の無償提供を実施することにした。ソフトの提供は同社のWebサイトからダウンロードする方式。1年間のアップデートも提供され、2年目以降の更新料は年間980円(消費税込み)というものだった。

 同社は、「キングソフトは日本ではまだ認知されていないブランドであるため、まずは無料ダウンロードで使い勝手のよさを知ってもらいたい」という考えから、店頭でのパッケージ販売は行わず、インターネットからダウンロードする方式に特化して販売促進を進めるという思い切った手に出た。

 そのキャンペーンがスタートしてから5か月目となった今年2月13日、総合セキュリティ対策ソフト「キングソフトインターネットセキュリティ2006」のダウンロード数は100万本に到達した。

 関係者は当初、最短でも半年はかかるだろうとみていた。しかし実際は、予想を上回る短期間での大台達成となった。その理由について同社幹部は、「競合他社にはない無料利用期間と価格が、既存ソフトを高価と感じるユーザーの要望に合致したことが大きい」としている。

 また業界内部には、「メールサポートが迅速であったこと、新種ウィルスへの対応が迅速だったことが市場で評価された結果ではないだろうか」とキングソフトを高く評価する声もあった。

 しかし、日本のソフトウェアユーザーは、世界一厳しい眼をもっているといわれる。したがってキングソフトの真価が問われるのは、むしろこれからだというべきだろう。
森山史也(サーチナ総合研究所リサーチャー)