【ソウル発】会員登録を済ませた後でも掲示板に何か書きこむたびに本人を認証し、運営者側が書き込んだ人を特定できるようにするインターネット実名制が、近く本格的に実施されることになった。従来は住民登録番号と名前で本人確認をし、会員登録さえすれば自由に書き込みができたが、住民登録番号が盗用される事故が相次ぎ、偽情報で会員登録し匿名を利用して特定人物を誹謗中傷するサイバー暴力が絶えないことから、韓国では昨年あたりからインターネット実名制を導入しようとしていた。

 韓国の中央選挙管理委員会は、5月31日実施の地方選挙の運動期間中、ポータルサイトとインターネット新聞、マスコミのホームページにある掲示板、チャットルームに特定政党や候補に対する支持または反対の意見を書き込む際には、住民登録情報を管轄している行政自治部が提供する方法で実名認証を行わなければならない「インターネット実名制」を実施すると発表した。ただし、実名確認に関する具体的な方法はまだ公開されていない。選挙管理委員会は4月2日、委員会のサイトからこの制度を導入し、5月18-30日の間、778サイトが対象となる。

 この制度は2004年4月15日総選挙の直前に通過した選挙法改正案に含まれていたが、当時はインターネット新聞社が憲法上の表現の自由と言論の自由を侵害する行為であると強く反発したため見送られた。読者の匿名での自由な意見書き込みが売りのインターネット新聞は、実名制が導入されればこの新聞の意味がないと、今回も強く反発している。

 実名制が施行されると、サイト運営者は「○○候補が当選すべきだ」といった支持や反対意思を表明した文が匿名または仮名で登録された場合、直ちに削除しなければならない。選挙管理委員会が削除するよう勧告した非実名掲示物をそのままにしておけば、1000万ウォン以下の罰金が課せられる。ただし仮名で書き込みをしたからといってネティズン(ネット上の市民)が処罰されるわけではない。誹謗中傷といった公職選挙法違反が認められた場合だけ処罰の対象となる。選挙法違反は最高5年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金となる。

 選挙管理委員会は「実名制を実施すればインターネットの匿名性を悪用して特定候補に対する支持や反対の文を大量に流布させたり、誹謗中傷で選挙に影響を与えようと企む人が減るだろう」とみている。しかし、政党や候補者のホームページ、ブログ、コミュニティサイトは実名を確認する義務はないため、これらのサイトにネティズンが集中する可能性も高い。

 インターネット新聞協会の関係者は「実名制は表現の自由を侵害した事前検閲行為」と反発している。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)