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コア 06年秋にGPSビジネスに参入 08年度に売上高3億円規模へ

2006/05/22 17:51

週刊BCN 2006年05月22日vol.1138掲載

 コア(井手祥司社長)は、GPS(全地球測位システム)ビジネスに参入する。2006年10月に携帯電話に搭載可能なチップのサンプル版を出荷開始、07年春からビジネスを本格化。売上高は今年度(07年3月期)5000万円、来年度1億5000万円、08年度には3億円規模と見込む。

 昨年夏にGPSソフト開発のマゼランシステムズジャパンと資本・業務提携し、GPSの開発に着手した。GPSチップは、地下や屋内でも正確な位置情報を検出できるようにするほか、サーバーへの位置情報アクセス時間の軽減などが特徴。価格は、他社製の既存チップより高くなる見通しだが、受信感度が高いことを武器に、携帯電話メーカーにアプローチをかけていく。詰素之・取締役専務執行役員は、「携帯電話メーカーでは、GPSサービスとして確実な位置検索ができることを求めているため、必然的に当社のチップを採用するようになる」とみており、すでに複数社が導入を検討しているという。

 GPSチップの販売に踏み切ったのは、総務省が07年4月から第3世代携帯電話への位置検出機能搭載の義務づけを決定したことが背景にある。同社にとっては、GPSチップの販売で携帯電話の組込ソフト開発や評価検証サービスを強化していくことが狙いだ。

 携帯電話関連の開発市場は、ミドルウェアの高機能化が進む一方、メーカーによる開発委託先への費用圧縮という現実もある。

 実際、コアの組込ソフト開発部門が手がける「エンベデッドソリューション事業」は、昨年度の売上高が126億6300万円(前年度比2.6%増)だったものの、営業利益が11億2700万円(同7.4%減)。「GPSチップを付加価値に携帯電話関連ビジネスの利益が向上できる」としている。

 また、資産管理ソフト「アイタム」シリーズとの組み合わせで企業内の備品をGPS機能で瞬時に検索可能なシステムの提供など自社製品の拡販にもつなげる。自社製品との連携強化により、減益が続く自社開発部門の「プロダクトソリューション事業」を拡大していきたい考えだ。
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