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東芝 中国ビジネスを加速 大規模な見本市を開催 地元企業との関係も強化

2006/06/19 17:54

週刊BCN 2006年06月19日vol.1142掲載

 東芝(西田厚聰社長)が中国ビジネスを加速させている。6月7-9日にかけて北京で大規模な見本市や現地ソフト開発企業との式典を相次いで開催。東芝グループの幹部が出席して中国での事業拡大を表明した。

 6月7-8日の2日間、東芝グループは北京市内のホテルでITや家電、オフィス関連機器、大型の電気機械設備などの総合展示会を開催した。北京での大規模な展示会を開くのは約20年ぶり。中国市場は2008年の北京オリンピックに向けて急拡大しており、東芝グループの認知度を高める狙いがあるとみられる。

 グループ全体の中国での事業規模は、海外への輸出分も含めて昨年度(06年03月期)約8300億円だったのに対して今年度は1兆円規模に成長する見込みで、「中国ビジネスが急拡大」(西田社長)している。

 IT分野ではSIerの東芝ソリューション(梶川茂司社長)が中国最大手のソフトウェア開発ベンダー・東軟集団有限公司(劉積仁総裁)と共同で、提携10周年の式典を6月9日、遼寧省瀋陽市内のホテルで開いた。

 東芝ソリューションは昨年度(06年3月期)の延べ数で約8000人のSE・プログラマを必要とするソフト開発を東軟集団に発注している。10年前は年間延べ数で100人分に満たない発注量だったが、この10年で約80倍に増えた勘定だ。

 ここ数年は加速度的に増えており、今年度は前年度比約25%増の延べ1万人分のソフト開発を東軟集団に発注する見通しだ。

 梶川社長は、「東軟集団には国内での確保が難しい優秀な人材が多数いる」と東芝ソリューションの国内における競争力向上に欠かせないビジネスパートナーだと評価。東軟集団の劉総裁は、「日本語堪能な技術者も含めて東芝グループ向けの人材育成により一層努める」と両社の関係強化を目指す意向を示した。

 今後は業務アプリケーションだけでなく、組み込みソフトの分野でも発注量を増やす。組み込みソフト開発を得意とする東芝情報システム(澤田晃三社長)は、昨年度延べ約1000人分を東軟集団に発注しているが、これを08年度(09年3月期)は「3倍に増やす」(澤田社長)方針。オフショアが難しいと言われる組み込みソフトの領域でも発注量を増やしていく。

 東軟集団の社員数は約8000人。このうち東芝関連にかかわる社員は約1000人に拡大している。
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