NEC(矢野薫社長)は8月から、米リバーベッド・テクノロジー(ジュリーMケネリー・最高経営責任者)の基本ソフトウェアのライセンス供与を受けて開発したWAN(広域通信網)の送受信を高速化するアプライアンス製品「WanBooster(ワンブースタ)」を出荷する。大企業を中心に、システム管理の効率化を狙ったサーバーやストレージ統合が進んだことで、遠隔地からのアクセス性能の低下が懸念されている。こうした現象が国内企業でも表面化することを見込み、他社ソフトを利用して製品化した。当初は、直販主体に展開し、順次有力販社を通じて拡販する。3年間で3000台の販売を目指す。

 ワンブースタは、リバーベッドの基本ソフト「RiOS」をNEC製サーバーに組み込み開発した製品だ。「RiOS」は、TCP対応アプリケーションに対し、帯域を最適化することで、データ送受信の遅延を最小限に抑える。基本性能はリバーベッドのアプライアンス製品である「Steelhead」と同等だが、「当社の技術者が技術ノウハウを蓄積し、サポートするためにも、NEC製サーバーを組み合わせて製品化したほうが、企業に対し的確に対応できる」(NECの丸山巌・第二コンピュータソフトウェア事業部統括マネージャー)と、ライセンス供与の形式にした。

 WAN環境の送受信を高速化する製品は、他の外資系メーカーが相次ぎ市場に投入しているが、製品検証を経てさまざまなアプリケーションで安定的に高速化できると判断してリバーベッド製を採用。

 NECにも、同様の技術があるが「早期に出荷する必要があり、自社開発では商機を逃す可能性があるため、他社とのアライアンスを決定した」(井上勝己・第二コンピュータソフトウェア事業部長)と、需要が伸びつつある時期に他の国産メーカーに先行して開発を急いだという。

 WAN経由のファイルアクセスで同製品を利用しない場合に比べ、最大100倍の高速化が可能。ファイルサーバー統合や遠隔バックアップ、ディザスタリカバリ(災害復旧)などの用途でWANの高速化を求めるニーズが拡大すると見ている。

 NECは、同製品と自社ストレージ「iStrage」、バックアップソフトなどを組み合わせ企業へ提供することを検討している。

 リバーベッドのケネリーCEOは「当社はベンチャー企業であり、日本市場に早期に製品を浸透するうえで、NECとのアライアンスは非常に重要と考えている。NECには高レベルの技術トレーニングも提供している」と、両社で緊密に連携しながら長期的な市場の開拓をめざす。

 今回出荷するワンブースタは、200万円の「ワンブースタ520」(1Uラック)など3モデルを提供。リバーベッドの「Steelhead」には、上位モデルと小規模拠点モデルがあり、今後、この領域の製品ラインアップを拡充することも計画している。