全国の高等専門学校の学生がプログラミングの創造性と独創性を競う、年に一度のコンテスト「全国高等専門学校第17回プログラミングコンテスト(プロコン)」が、10月7日-8日の2日間にわたって、茨城県ひたちなか市の茨城工業高等専門学校(茨城高専)で開催された。今年はプロコンの歴史が始まって以来初めて全国62校の高専すべてから応募があり、予選を勝ち抜いた課題部門20チーム、自由部門20チームと競技部門58チームが熱い戦いを繰り広げ、各部門の最優秀チームに文部科学大臣賞が授与された。なお、このプロコンで優秀な成績を収めたチームは、BCNが主催する「BCN ITジュニア賞」の有力候補としてノミネートされる。

●異例ずくめの17回大会は天候も大荒れ、初日は1時間繰り下げてスタート

 

 17回目を迎えた今回は、史上初の62高専全校が参加したこと、ハノイ工科大学、モンゴル国立大学、大連東軟情報学院の海外勢による課題部門への初参加が実現したこと(海外チームはオープン参加)など異例ずくめであったが、前日の悪天候に参加各チームが悩まされたことでも記憶に残る大会となった。

 

 大会前日は関東から東北にかけての広い範囲で、秋雨前線の通過に伴う台風並みの暴風雨が荒れ狂い、会場に向かう主要ルートのJR常磐線が各地で寸断され、ほぼ全線にわたり長時間の運休を余儀なくされたことから、前日の予定時刻に宿舎に到着できないチームが続出。

 

 なかでも、八戸高専、宮城高専、仙台電波高専などは列車や振替バスに二十数時間も閉じこめられ、旅程に十数時間を要したチームも少なくなかった。このため、立ち往生した駅の駅舎でノートPCを充電したとか、電車のトイレのコンセントからAC電源を引っぱったとか、各チームも準備に予期せぬ苦闘を強いられたようだ。混乱は大会当日にも及び、常磐線が始発から運休した上に、復旧後も運転打ち切りが相次いだため、大会初日のスケジュールも1時間繰り下げて開始された。

 

●課題部門では、長野高専が最優秀賞と優秀賞のダブル受賞

 

 大会初日は課題・自由両部門のプレゼンテーション・審査が行われ、競技部門は予行演習を経て夕方から本選(1回戦と敗者復活戦)に入った。プレゼン・審査では予定の発表時間までに到着できないチームの順番を繰り下げる措置がとられたため混乱はなく、学生たちも睡眠不足をものともせず堂に入ったプレゼンを展開した。

 

 2日目は、競技部門では2回戦から決勝までが順調に行われたが、課題・自由両部門の実機によるデモンストレーションやシステムの審査では、到着の遅延による最終の詰めができずに口惜しがるチームがあったものの、映像あり、音楽あり、大道具仕立てありのバラエティに富んだデモに会場は盛り上がり、審査員の鋭いツッコミに汗だくでシステムを動かすプロコンならではのほほえましい光景があちこちで見られた。

 

 課題部門の今大会のテーマは「子供心とコンピュータ」。ディスプレイ上にしゃぼん玉を作りだし、タッチパネルに触れて割って音を出す遊びを高度に完成させた長野高専の「しゃぼん玉とばそ」が最優秀賞(文部科学大臣賞)の栄誉に輝いた。課題部門2チームが予選を通過した長野高専は、さらに「発掘!恐竜大事典-友達を誘って、恐竜に会いにいこう-」を出展したチームも優秀賞を獲得し、1・2位を独占する快挙を達成。また、鳥羽商船高専など4校に審査員特別賞が授与された。

 

●自由部門では鈴鹿高専が最優秀賞、競技部門は久留米高専が連覇

 

 自由部門では、ある単純な目的を達成するために無駄に複雑な機構を介在させて実現するという「ループ・ゴールドバーグマシン」をPCで擬似的に実現した鈴鹿高専に最優秀賞が、また、3Dを駆使した癒し系のイルカセラピー「$フィンファンタジー」を出展した詫間電波高専に優秀賞が、さらに松江高専など4校に審査員特別賞が授与された。

 

 競技部門は決勝戦(フル対戦のリーグ戦)に優勝経験校の久留米高専(プログラム名は「ツンヅケ」)、東京高専(同「きょーぎっくす」)の強豪と、新鋭石川高専(同「二進信宿清掃局」)が勝ち残り、僅差のきわどい試合を制した久留米高専が連覇の偉業を達成した。

 

 なお、海外勢にも課題・競技両部門で各校に特別賞(大連東軟情報学院が課題部門「技術賞」・競技部門「国際交流賞」、ハノイ工科大学が課題部門「国際交流賞」・競技部門「技術賞」、モンゴル国立大学が課題部門「国際交流賞」)が授与された。(フリーライター・佐々木潔)