【北京発】10月12日、オランダ系のロイヤルフィリップスエレクトロニクスは携帯電話事業を中国電子信息集団会社(CEC)に譲渡すると発表した。CECは最大5年間、フィリップスのブランドを使い、携帯電話のマーケティングや販売を全世界で行うことを契約したという。

 資料によると、中国の携帯電話市場におけるフィリップスのシェアはわずか3%で、なかなかシェアアップを果たせずにいた。フィリップスの広報担当者は、「慎重な検討を経て、非中核事業を手放し、主導権を握っている薄型テレビや家庭用娯楽システムに集中することにした」と語った。

 買収を進めるCECとフィリップスとの業務上の関係は古い。1996年には、両社は広東省深市にて合弁会社(後に深桑菲消費通信有限会社に変更、以下「桑菲社」という)を設立した。当時の筆頭株主であったフィリップスは90%の株を持っていたが、携帯電話事業をリストラし始めた02年には、フランスにある傘下の研究開発センターや75%の株をCECに譲っただけでなく、フランス工場とシンガポール工場を閉鎖し、すべての生産業務を桑菲社に移した。桑菲社はフィリップスブランドの携帯電話の世界唯一の生産拠点となり、受託生産を行っていた。CECがこの業務を引き継ぐのは自然の流れともいえる。今回の譲渡で、ブランド使用権、販売権、販売チャネルのほかに桑菲社の株もすべて譲り渡される。

 4億人以上の携帯電話ユーザーを誇る中国市場での競争は熾烈だ。世界で一番オープンな市場とされ、各国からほとんどのメーカーが進出している。中国市場での人気は、先発優位性のあるノキアやモトローラなどに集中している。今年第1四半期の統計をみると、ノキア、モトローラ、サムスンのトップ3が50%近いシェアを占めている。残りは、ローカルメーカーが低価格戦略で市場を蚕食している。こうした激烈な競争のなか、著名企業が次々と撤退を余儀なくされた。東芝、三菱電機をはじめとする日本メーカーや、台湾系のBenQに携帯電話事業を売却したシーメンスの撤退などが例にあげられる。

 フィリップスの携帯事業売却は、シーメンスの後追いのようにみえる。中国では、3G時代がまもなくやってくるとされているが、そのモデルチェンジにあたり、大量の資金を投入しなければならないとすれば、むしろ手放したほうが良策というのが経営陣の判断だろう。

 いずれにしろ、今回の取引はwin-winの結果をもたらすように思えるが、CECにとっては、吸収して、体制を整備するプロセスも長いのではないだろうか。
魏鋒(ウェイ・フェン=ACCS上海事務所所長、Shanghai@accs.or.jp)