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新日鉄ソリューションズ サービス事業に注力 SaaSとBPOと連動強化 前年比約6割増で推移

2007/02/05 19:38

週刊BCN 2007年02月05日vol.1173掲載

 新日鉄ソリューションズ(鈴木繁社長)は、サービス事業の拡充に力を入れる。ソフトウェアのサービス化(SaaS)と、顧客の業務プロセスの一部を丸ごと受託するBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)を組み合わせることでビジネス規模を拡大。SaaS単体の月額料金のみでは得られる金額が限られているため、BPOを付加することで収益性を高める。

 同社の売れ筋のSaaSサービスは独自に開発した文書管理システム「nsエクスプレス・ドットコム」で、ここ数年の関連売上高は前年比約6割増で推移している。同サービスは2001年にASP方式でスタート。03年にはXMLウェブサービスに対応したのに続き、昨年11月にはSaaS対応のCRM(顧客情報管理システム)大手のセールスフォース・ドットコムと連動して動作するようにした。

 SaaSなどオンデマンド方式の文書管理システムの場合、インターネット上のサービスとして顧客の電子文書を保管するのが一般的だ。それに対し、同社では例えば顧客から紙の文書を預かって必要に応じてスキャナでデジタル化し、ネット上の保管スペースに保存するBPOサービスも提供している。本来は顧客が自ら行う業務プロセスの一部を一括して受託・代行するBPOサービスと有機的に組み合わせることでビジネスを伸ばしている。

 基幹業務システムの構築などのSIビジネスでも積極的にBPO提案を行っており、オンデマンドサービスでも同様にBPOと連動させることで収益性を高める。「SIやオンデマンドとBPOは車の両輪」(藤本英文・ITエンジニアリング・サービス事業部副事業部長)と位置づけて、一過性のSIやオンデマンドサービス単体の使用料金のみにとどまらないよう付加価値の増大に努めている。

 オンデマンドサービスを支えるデータセンターの拡充にも取り組む。昨年7月には新規に開設した首都圏第3データセンターが本格的に稼働。今年度(07年3月期)は、新しいデータセンター関連費用などで約6億円の投資を行う予定だ。オンデマンドサービスやアウトソーシングの案件が順調に増えていることから、来年度も引き続きデータセンター関連の投資を続ける。

 今年度の連結売上高は1560億円の見通しで、このうちオンデマンドサービスやアウトソーシングなどを含むビジネスサービスセグメントは全体の約26%、実数で400億円を占める見込み。安定的な収益源として重要性が増していることから、今後はサービスメニューをより増やすなどしてサービス事業の拡大に取り組む。

 独自サービス「nsエクスプレス・ドットコム」のセールスフォース・ドットコム対応を巡っては、昨年6月に先行して自社導入を行った。すでに自社内で稼働していたセールスフォース・ドットコムのCRMに「nsエクスプレス・ドットコム」と社内ブログシステムの「営業ナレッジポータル」の2つの機能を追加。文書管理能力と社内のコミュニケーションの円滑化を図った。

 SaaSは異なる複数の業務システムを連動させたり、カスタマイズできるのが特徴。従来のASPでは困難だった業務にも対応できる。SaaS型業務システムを自ら先行して導入・実践することで外販に弾みをつける。
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