LGなど対抗陣営は猛反発

 【ソウル発】韓国で携帯電話加入者50%以上のシェアを持つ最大手移動通信キャリアのSKテレコムが、有線ブロードバンド・電話のシェアでKTに続く2位、IPTVではシェア1位のハナロテレコム買収を発表した。SKテレコムは2007年末に1兆8000億ウォン(約2200億円)を投資してハナロテレコムの株38.9%を取得する契約を交わした。この買収に、韓国通信業界は大きく動揺している。

 SKテレコムがハナロテレコムの株を取得すれば、移動通信キャリアから総合通信グループとして生まれ変わることになる。SKテレコムには有線通信部門子会社としてSKテリンクがあるが、事業領域が国際電話とインターネット電話の一部に限定されていた。SKテレコムはハナロテレコム株を取得し、市内電話・ブロードバンドインターネットといった有線通信分野を強化、IPTVなどメディア市場にも進出できるようになった。

 移動電話が個人を相手にする市場ならば、固定電話やIPTVは家庭をターゲットにしている。SKテレコムのキム・シンベ社長は、「有線と無線の結合サービスやホームネットワークなど家庭に浸透できるチャンスをうかがっている」と話している。

 情報通信部と公正取引委員会がSKテレコムのハナロテレコム買収に対する検討に着手したなか、競争制限性の有無をめぐってSKテレコムと反SKテレコム陣営が攻防を繰り広げている。通信専門家らは今回のM&Aはお互いに違う業種の企業間結合として「混合結合」という見解をみせているが、業界の一部ではこの2社のM&Aを許せばSKテレコムのモバイル市場での支配力が有線市場まで拡大し、怖いものなしの「通信恐竜」が誕生すると反発している。

 LGDACOM、LGパワーコム、LGテレコムの3社は情報通信部にこのM&Aを許可してはならないと意見書を提出、「競争事業者を排除しようとする動き。政府は通信業界の競争を活性化させるとしているが、このままではKTとSKテレコムに二分され、他事業者の共倒れにつながり、結局消費者に悪影響を及ぼすだろう」と主張した。またKTグループと市場複占化を形成し、政策方向まで相互共同行為が容易になるため事実上「談合」の心配もあるとしている。 SKテレコムが仮想移動体サービス事業者(MVNO)であるハナロテレコムを買収することで市場の競争性が制限されるということも問題であるとしている。KTも「政府がMVNO制度を導入するのは競争事業者の数を増やして移動電話市場の競争を活性化し、利用者の利益を拡大するためなのにSKテレコムがハナロを買収すればMVNOに参加する事業者が減る。これは消費者にとってはよくないかもしれない」という点を指摘している。これに対し、SKテレコムはハナロのIPTVとブロードバンドインターネットは移動通信と関係ない市場なので、公正取引法上異種企業間の混合結合であるから何の問題もないとしており、マスコミもハナロからSKテレコムより先に買収の話を持ちかけられたときに断っておきながら、今となってM&Aをぶち壊そうとするLGには問題があると、あまり相手にしない様子だ。

 まだ公式にコメントしていない移動通信キャリアのKTFはSKテレコムが独占している800MHz周波数について問題提起する計画だ。KTF関係者は「800MHz周波数の独占を解消しないままSKテレコムがハナロを買収してはならないという立場」と明らかにした。これに積極的に対応するためKTとKTFの合併またはKTの持ち株会社転換、LGDACOM・LGパワーコムの合併など、通信市場の競争構造が完全にひっくり返る可能性が高い。

 総合通信グループとなるSKテレコムは08年上半期から地上波放送の同時再送信が可能となるIPTVに力を入れる一方、一度失敗している米国移動通信市場進出にWibro(モバイルWiMAX)でもう一度挑戦しようとしている。
 趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)