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新日鉄ソリューションズ 金融商品開発向け拡大 グリッドや仮想化を駆使

2008/05/19 21:00

週刊BCN 2008年05月19日vol.1235掲載

情報系システムに焦点

 新日鉄ソリューションズ(北川三雄社長)は、金融業向けのビジネスを拡大させる。グリッドコンピューティングや仮想化技術を駆使し、主に金融商品の開発などに活用する情報系システムの受注を狙う。メガバンクのシステム統合案件など、これまで金融分野では基幹系システムの投資が多くを占めてきた。だが、統合案件にめどがついたことから、今年に入って情報系への投資が活発化。グリッドや仮想化技術を使ったハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を切り口にビジネス拡大を目指す。

 金融商品の開発にはコンピュータによる高度な演算が欠かせない。グリッドは安価なPCサーバーなどを連結させてスパコン並みのハイパフォーマンスを引き出す技術で、世界の先進的な金融グループが相次いで採用している。また、仮想化は演算を行う業務アプリケーションをハードウェアの制約から切り離す技術で、グリッドとの相乗効果が見込める。

 新日鉄ソリューションズは、グループ会社の鉄鋼製造シミュレーションなどでの経験を生かし、業界に先駆けてグリッド技術の開発に取り組んできた。金融業界における基幹業務システムの分野ではIBMなどメーカー系のビジネス規模に及ばないものの、金融商品の開発やリスク管理を行う情報系システムの構築では評価が高い。メガバンクの基幹業務システムの統合は一段落するが、「情報系を中心に需要は高水準で推移する」(大坪武憲・ITインフラソリューション事業本部営業本部副本部長)とみる。

 今年4月には金融向けのグリッドや仮想化ソフトを開発する米データシナプス製品の取り扱いをスタート。持ち前のグリッド技術と融合させて営業攻勢をかける。データシナプス製品は欧米の大手金融機関での採用実績が多く、グリッド化などの分野で後れをとる日本の金融機関で需要が見込めると判断した。今年に入って引き合いが強まっており、すでにデータシナプス製品を組み入れた複数の商談が進行中という。銀行や証券、保険などを傘下におさめる大手金融グループをメインターゲットに据える。

 例えば、高度な演算が求められるデリバティブ(金融派生商品)などの開発で、ライバル金融機関が5分で計算を終えるものを、こちらは10時間かかるとすれば、「商品開発力で差が開く」(データシナプス日本法人の堀之内道仁・サービス事業部アジア担当ヘッド)。サブプライム問題などで表面化した巨額損失を防ぐためのリスク管理シミュレーションにも役立つ。金融商品をより迅速に、安く開発し、かつリスク管理を徹底してグローバル規模での競争力を高めたい金融業のニーズを取り込むことで事業拡大を目指す。
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