日立製作所(古川一夫社長)がSaaS関連事業を強化している。2008年3月に本格的SaaS型サービスの第一弾として「物流プロセスの可視化ソリューション」を発売。5月には、企業間EDI(電子データ交換)システムで動作するアプリケーション機能をSaaSとして提供する新サービスを始めた。まずはIT投資額が多く、ITリテラシーも高い中堅・大企業を対象に、SaaS関連ビジネスを手がける戦略をとる。

 今年3月に始めたSaaS型サービス「グローバル物流プロセス可視化ソリューション」は、世界規模で物流展開する大企業向けのものだ。生産した商品を世界規模で輸送し販売する際、工場や倉庫、航空会社、鉄道業者など複数の企業が関連しており、各企業個々にSCMを構築している。そのため、シームレスな連携をとるのが難しく、「貨物が今、どんな状況かを正確に把握しにくい」(明石英浩・国際情報通信統括本部ソリューション開拓部チーフITアーキテクト)という問題があった。新サービスはそれら個別のSCMをネットワーク接続し、物流状態を的確に把握可能にする。デカルトシステムズジャパンのサプライチェーン可視化システム「Visibility」を活用して開発した。

 一方、5月に発売したのは、日立がすでに展開中のEDI基盤「TWX─21」を活用したSaaS型サービス。TWX─21は企業間の受発注や見積もり、決済などを紙ではなく電子的に行うシステムで、日立が約10年前に提供開始。約3万8600社が利用し、年間10兆円規模の商取引を処理しているという。新サービスはEDIの基本機能に付加するアプリケーションをメニュー化し、SaaSとして提供するもの。既存顧客3万8600社をまずはメインターゲットに置いており、中堅・大企業が拡販先になりそうだ。

 日立は、SaaSサービス開始のためのインフラ提供を大々的に打ち出しているNECや富士通とは一線を画し、各業種や各ソリューションごとに順次SaaS型サービスをラインアップする戦略を推進している。現時点では、中堅・大企業をメインにSaaS関連事業を強化している。