ライバルは“2年縛り解除”を狙う

 KDDI(au)、ソフトバンクモバイル、NTTドコモなど携帯キャリア各社が携帯電話端末の新製品を発表し、08年冬商戦モデルが出そろった。市場が飽和し販売が落ち込むなか、端末代金を分割で支払う割賦制度の導入以外に各社はどんな戦略で臨むのか。その動向をまとめた。

「究極美」と「タッチパネル」

 KDDIは10月27日に08年冬商戦モデル7機種を発表、先陣を切った。同社は「究極美」をコンセプトに高画質が売り物の大型・高精細な画面の端末を投入する。「Wooo(ウー)ケータイ W63H」など3機種がその代表だ。そのほか、消費カロリーを自動測定する「W65T」(東芝製)など4機種をそろえ「他社よりも高画質。非常に期待が持てる端末がそろった」と、高橋誠・取締役執行役員常務は発表会で自信をみせた。

 一方、ソフトバンクモバイルのメインテーマは「タッチ」。指で触れて操作するタッチパネル式の端末を冬商戦の主力に据える。4機種販売するなかで目玉は「AQUOSケータイ FULLTOUCH(フルタッチ)」。3.8型のハーフXGA液晶を搭載し、ウェブ閲覧のスクロールや拡大・縮小、ワンセグ、カメラなどを画面に指を触れることで操作できるのが特徴。ほかにも「930SC OMNIA(オムニア)」など海外メーカーの端末も用意した。「ソフトバンクは攻めの一辺倒。新しい端末・機能でユーザーのワクワク感、ドキドキ感を広めていく」と、孫正義社長は意気込む。

「嗜好にあわせたケータイ」を

 「機能ありきではなく、お客様の嗜好にあわせたケータイを提案する」。NTTドコモの山田隆持社長は08年冬モデルの発表会で、こう強調した。ドコモは今回から高機能機「90Xi」と普及機「70Xi」のシリーズを廃止。20~30代の女性向けでファッション性を重視した「スタイル」、20代をターゲットに映像や音楽などの機能を充実させた「プライム」、30~40代の男性が対象の「スマート」、ITやデジタル機器に強い20~30代男性向け「プロ」の4シリーズに端末の区分を刷新した。冬モデルは22機種を投入する。

 「スタイル」では有名パティシエとのコラボレーションモデル「N-03A」など6機種、「プライム」は800万画素カメラ搭載の「AQUOSケータイ SH-01A」など7機種を発売。また「スマート」はデザイン家電ブランド「アマダナ」とのコラボ端末「New amadanaケータイ N-04A」など4機種、「プロ」ではスマートフォンなど3機種を用意した。タッチパネル端末も8機種を投入する。「豊富なラインアップを売りにしていく。22機種という数は多いとは思わない」と、山田社長は説明する。

 イー・モバイルはデータ通信カード端末に力を入れる。同社では上りの最大通信速度が毎秒1.4Mbps(メガビット/秒)のHSUPAサービスを国内で初めて11月20日から開始。対応するUSBスティック型やPCカード型の通信カードを販売する。また、通話機能も備えたUSBスティック型端末「H11LC」(中国ロングチアー・テクノロジー製)も12月に発売する。同社は契約者が100円でミニノートPCを購入できるキャンペーンを実施。今回のカード端末でも「100円PCを続ける」(阿部基成副社長)ことで、販売を伸ばす狙いだ。

違い際立つ「大手3社の販売戦略」

 新製品などで端末の販売減少に歯止めをかけたい携帯各社だが、その戦略はさまざまだ。ドコモは現状ユーザー約5400万人の囲い込みを基本に買い替えを促進する。施策の一つとしてあげるのが、約750万人抱えている2.5Gサービス利用者の3Gサービスへの移行促進。「PDC(2.5G)の巻き取り(移行)を積極的に行い、09年3月期の下期は端末の販売減を10%(前年同期比)にとどめたい」と、山田社長は強調する。

 KDDIは「『商品とサービスの連携』や『多様なユーザーインタフェース』といった点をアピールして、端末の買い替え促進や新規のユーザーを獲得していく」(高橋常務)方針。同社では09年3月までに1440万台の端末販売を計画しており、冬モデルを核に目標をクリアしたい考えだ。

 純増数で18か月連続首位のソフトバンクは純増数首位の維持と、端末の買い替えを促す。他社に先駆けて06年に端末の割賦販売を導入したため、2年前に24回払いを選んだ利用者が満期を迎える時期。「2年縛りが解けるのは大きなチャンス」(小野寺正・KDDI社長)と、他社もそのユーザー獲得を狙う。

 しかし、景気の減速で買い替え需要をどれだけ喚起できるかは未知数。新端末やサービスの魅力をいかに訴えることができるかが、各社の端末販売の拡大とシェア獲得のポイントになりそうだ。(米山 淳)