SaaS型サービスのラインアップが急速に増えている。マルチメディア振興センターの「ASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定制度(ASP・SaaS認定制度)」では、2008年に約50件のSaaS型サービスがリストアップされ、09年も引き続き増える見通し。同制度を委託されているASP・SaaSインダストリ・コンソーシアム(ASPIC、河合輝欣会長)では、向こう1年間で累計150~200件程度に増えると予測。ユーザーにとって初期投資の負担が少ないSaaS型サービスの需要が高まっていることなどがサービス増加を後押ししている。

 SaaS型サービスは、従来方式に比べて初期投資を抑えられる。月額定額制のためコスト負担の平準化が図れることから、「ユーザーからの引き合いはより一段と強まっている」(河合会長)と、経済環境が厳しいなかでも伸びる商材だとみている。

 ユーザーニーズを敏感に感じ取ったITベンダーはSaaS型サービスの開発に力を入れており、ASP・SaaS認定制度では、09年末までに今の3~4倍に相当する「累計150~200件のサービスがリリースされる可能性が高い」と手応えを感じている。同制度ではSaaS事業者の概要や情報セキュリティなどのサービスレベルを定めたガイドラインをベースに認定。08年4月に創設され、SaaS型サービスの信頼性や安全性の情報公開に努めている。

 直近ではピー・シー・エーの中小企業向け業務支援サービス「PCA for SaaS」、BSNアイネットの診療報酬請求事務支援の「DENTALフレンドASP」、さくら情報システムの人事給与業務支援の「HRAサービス」などが新たに加わっている。また、大手ITベンダーが、SaaS型サービスの基盤となるデータセンター(DC)サービスを相次いで拡張しており、基盤提供のPaaS型サービスも増加。自前でDC設備を持たない中堅・中小の業務アプリケーション開発ベンダーが「ASP・SaaSに参入する敷居は格段に低くなっている」と、参入環境が整いつつあることもサービスの件数増を後押ししているようだ。

 河合会長は、中堅・中小のSIerなどで組織する日本ソフトウェア産業協会(NSA)の会長も務める。会員各社には自らの強みとなるコアコンピタンスを明確にするよう呼びかけ、「差別化できる業務アプリやサービスの開発が勝ち残るカギになる」と説く。大手に比べて営業力が弱いソフトハウスでも、PaaSの活用や大手とのマッシュアップが容易なSaaS型サービスに乗り出すことで販管費の抑制が可能になり、新規顧客の開拓につながると期待している。ASPICではASP・SaaS市場は2012年に現在の1.5倍余りの2兆円規模に成長するとみている。