イーパーセル(北野譲治代表取締役)は今春、大容量データの転送サービスを個人向けに無償で提供開始する。メールでの送受信が事実上不可能な大容量データを、ネットを通じて送受信できるサービスで、これまでは企業・団体での利用に限定し、有償サービスとして展開していた。知名度とブランド力向上には、個人向けサービスを展開する必要があると判断。類似サービスとしてユーザー数が多い「宅ふぁいる便」を追撃する。

 同社は、企業・団体向けにはすでにサービスを展開中で、約4500社のユーザー企業・団体を抱えている。3DCADなど大容量データを扱う自動車などの製造業や研究機関での実績が多い。

 今回、個人向けに展開するサービスは、企業に有償提供するものを個人利用に適した形に改良して提供する。競合サービスとしては「宅ふぁいる便」があるが、対抗策として北野代表取締役は「企業市場での実績と特許取得済みで安全・確実に転送するための技術をうまくPRし、類似サービスでは面倒な利用する際の煩雑な手間がない使い方を武器にする」と説明する。

 利用方法は現在検討中だが、送信者は名前とメールアドレス、受信者メールアドレスを入力し、受信者は専用メールに記載されたURLをクリックするだけで送受信が完了する仕組みにする。煩雑な個人情報の入力は省く。サービス開始時期は今春の予定だ。利用料金は期間を限定して無料にする。「まだ検討中だが1年半か2年間無償で利用してもらい、その後は月額や1回数十~数百円という形で課金する」(北野代表取締役)考え。転送データの容量は制限を設ける計画だが、具体的な容量は今後詰める。利用者ターゲットは、大容量データの転送が必要な企業内個人を中心に、写真や動画などをDVDに焼いて郵送するコンシューマも想定している。ユーザー獲得目標はサービス開始後1年半で最低1万人。

 個人向けサービス開始の狙いは、「企業・団体向けビジネスを伸ばすための知名度向上にある」(同)という。「ユーザー企業を早期に今の2倍にあたる1万社まで増やしたい。急成長させるためには、当社に欠けている知名度とブランド価値を高める必要がある」。そのためには、個人市場で展開し広く知ってもらう必要があると判断した。企業向け事業を主軸に置くため、個人向けサービスはユーザーの動向次第で、無期限無償サービスも展開するつもりだ。

 個人向け市場へ参入する際のシステム投資については、「(自社の)情報システムはすでに巨大なインフラを持っており、現時点で全体の8%のリソースしか利用していない」(同)ことから、ほぼ追加投資なしで始める。(木村剛士)