ITコーディネータ協会(関隆明会長)は、当時の通商産業省(現・経済産業省)がITコーディネータ(ITC)制度を提唱してから10年を迎える2009年度、改めて「ITC資格保有者」の人員数を増やす施策を打ち出す。全体としては、ITC制度の認知と理解を深める活動を積極化したうえで、同保有者の所属業種に応じた対策を講じる。

 ITC資格制度が01年に発足してからの認定者の数は累計8577人。このうち、毎年の更新者と新規合格者を含めた現保有者数は6406人になっている(08年12月現在)。毎年の更新対象者の更新率は07年度まで90%で、1割が辞退している。08年度は「資格保有者への働きかけを強めた」(協会事務局)ことが奏功し、4ポイントほど改善して96%程度の更新率になった。

 しかし、辞退者を減らす根本的な歯止め策になっていないことから、09年度は「(ITCの業種を問わず)経済産業省の『IT経営力大賞』の候補になるようなITCの活躍事例を発掘して情報発信する」(協会事務局の久保寺良之・常務理事事務局長)ことなど、宣伝活動を推進し、「ITCの資格を取ろう」と志す潜在的な資格者を増やす考えだ。

 ITC資格保有者の業種別分布を見ると、最も多いのが大手ITベンダーで53%強。次いで独立系が21%弱、中小ITベンダーが16%、一般企業と大学・公共団体を含めたユーザーが10%に分かれる。久保寺・事務局長は「ITCの資格を取得し、積極的な活動を展開しているのは、中小ITベンダーと(大手ITベンダーに含まれる)販売系SIer、事務機ディーラー、独立系に多い。事業ターゲットが中小企業であることが影響している」との認識を示す。

 大手ITベンダー内の資格者は、開発系ベンダーのシステム技術者が多くを占め、ソフトウェア開発などに必要なシステム技術者資格に比べてITC資格に「価値を見出せない」(久保寺・事務局長)ことから辞退者が多い。このため、ITスキル標準(ITSS)など各技術者資格と対比して、ITC資格がどのような位置づけにあるか「スキルセット」を作成し、ITC制度の利用価値を示していく。

 また、全体的に比率が低いユーザーITCの数を増やす対策を打ち出していく。企業内(ベンダー内)ITCが経営者などに接しても、その間を取り持つユーザー内にITCがいないと、「共通言語」でシステムの在り方を議論できないためだ。久保寺・事務局長は「こうしたビジネスプロセスの中で適切な取引関係を確立することが課題だ」と、ユーザーとベンダーが「共通言語」で理解し合えるようにITC向けの「RFP(提案依頼書)」作成ツールもつくる検討をしている。 同協会の活動方針は、6月の理事会で正式決定する。(谷畑良胤)