米マイクロソフトでソフト開発者やITベンチャー支援業務を手がける「デベロッパー&プラットフォーム エバンジェリズム」部門。そのトップであるワリッド・アブハドバ・コーポレートバイスプレジデントは本紙記者のインタビューに応じ、日本のソフト開発企業が国外市場で成功しない理由や、同社が浸透に力を注ぐ分野について語った。世界のソフト会社の動きを熟知する同氏の視点とは──。

 アブハドバ・コーポレートバイスプレジデントが統括する「デベロッパー&プラットフォーム エバンジェリズム」部門は、開発者やITベンチャーのビジネスサポートほか、行政団体のIT化支援など、CSR(企業の社会的責任)活動と自社の最新テクノロジーを開発者に浸透させるミッションを抱えている。ITベンチャー支援の分野では、日本を含めた全世界のベンチャー企業の情報が集まり、その動きを調査・分析する。

 日本のソフト会社のなかには、世界展開を試みる例があるが、国外で成功したISVは皆無。その理由について同氏はこう指摘する。「テクノロジー、マーケティング、セールスの3分野で、日本のソフト開発会社は考え方がグローバルではない。日本市場で日本の企業だけが使うソフトを開発している印象を受けるし、販促施策や営業は東京で売ることだけを考えているように感じる」。同氏は、日本で2年半ほどビジネスに携わった経験があり、今でも年に4~5回は日本を訪れる。日本と世界のソフト産業事情を精通しているだけに、日本の弱さが分かるという。

 解決策として同氏はこう続ける。「まず、多言語対応など機能面で海外のユーザー企業・団体でも使えるようにすることが大前提。そのうえで、販売チャネルの整備を進めるべきだ。日本の大手コンピュータメーカーは世界市場に進出しているが、それらのITベンダーに認めてもらい、彼らの世界での販路を活用して世界展開するのは至難の業だろう。日本の若いITベンチャーはなかなか相手にしてもらえないはず。私の経験から言えば、海外市場で販売するのに適した手段の一つとして、海外で活躍するベンチャーキャピタルとの協業がある。実績がない若いITベンチャーの話にも柔軟に対応するし、各地域での販路事情にも詳しい。彼らを活用するメリットはある」。

 最新技術の浸透という点で、同氏はその一つとして次期クライアントOS「Windows 7」を挙げる。「評価版はすでにリリースしているので、早期にこの新版をサポートしてもらいたい。ユニークなソフトは日本のベンチャーが開発した製品であっても、私が自ら紹介していくつもりだ」。次期クライアントOSに自信を示し、ISVの対応を積極的に呼びかけている。(木村剛士)