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NECビッグローブ 法人向けSaaS提供を拡大 売上規模を現状の3倍に

2009/07/20 21:35

週刊BCN 2009年07月20日vol.1293掲載

ISVとの協業強化でアプリを増加

 NECビッグローブ(飯塚久夫社長)は、法人向けSaaS事業の拡大を図る。ISVなどとのアライアンス強化で社内業務関連やセキュリティ関連を中心にアプリケーションを増やし、2011年をめどに売上規模を現状の3倍まで引き上げる計画だ。

 同社は、法人向けビジネスとしてプラットフォーム活用のサービス提供に力を注いでおり、そのなかでSaaSを新規顧客を開拓するキーポイントと位置づけている。これまで個人のISP会員を対象としたASPやSaaSの提供をメインとしていたが、「その実績やノウハウを生かし、法人を対象に事業拡大を図っていく」(望月正士・執行役員ビジネス事業部長)としている。

 事業拡大に向けて重視するのはアプリケーションの拡充で、「法人向けアプリケーションとして、当面はニーズが高まっているセキュリティ関連サービスを増やしていく」という。最近では、綜合警備保障やソリトンシステムズなどと組んでSaaS型のPC監視サービスを提供。PCの操作ログ監視による中小企業の情報漏えい対策で、同社のプラットフォーム活用を促していく。セキュリティ関連では、ほかにも「個人情報検出」や「ファイル送信・共有」を切り口としたサービス提供も計画している。また、勤怠管理やワークフロー、交通費精算など社内業務系のアプリケーションを提供することも模索しており、「ISVとのアライアンスを積極的に進める」としている。

 同社のプラットフォーム事業は、売上高全体の2割程度を占めている状況。市場環境が厳しい状況のなかでも「伸びている」事業の一つである。ここにきて、法人向けSaaSの本格化に乗り出したのは、「今後、SaaSの利用が高まるといわれている中小企業の掘り起こしはISPが優位」と判断したためだ。ISPは、インターネット接続サービスで提供している課金システムをSaaSサービスの決済システムとして提供できる。アプリケーションベンダーにとっては、決済代行を行ってくれることになる。しかも、同程度の決済システムを保有する通信事業者と比べて「ユーザーとの距離が近い」ことを優位性として挙げる。サービス型モデルについても、SMBをユーザーとして確保できると試算しているのだ。(佐相彰彦)
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