アイシロン・システムズ(ティム・グッドウィン代表取締役)は、主力製品に据えるNAS(ネットワーク・アタッチド・ストレージ)機器で仮想化事業の拡大を図る。このほど、ハードウェアと仮想化対応のストレージ管理ソフトウェアなどを組み合わせたパッケージを市場投入し、2009年末までに40~50社の導入を見込む。

SMB市場で新規顧客を開拓する

 仮想化環境を構築するうえで主流となるストレージ接続方式は、通常、多拠点間でデータのやり取りが可能なSAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)といわれている。ただ、SANを構築するには高価格のFC(ファイバー・チャネル)スイッチを導入する必要があることなど、ユーザー企業にとってはコスト面で課題がある。多くの拠点を抱える大企業などは、仮想化環境の登場以前からSANを構築していたケースが多かったことから、ストレージを含めた仮想化を構築できる環境は整っているといえそうだが、SMB(中堅・中小企業)の場合は導入の障壁が高い。これがストレージを含めた仮想化環境の普及が鈍い理由の一つである。

 こうした課題を解決するため、アイシロンではSMBでニーズが高まりつつあるストレージ接続方式のNASによる仮想化事業を本格化している。ハードウェアとソフトウェアをセットにした「Isilon IQ Virtualizatin」としてパッケージ提供を開始。販売代理店を経由して拡販を図る。

 同パッケージは、ストレージ機器の「IQ」シリーズで「1920x」「6000x」のそれぞれ3ノードを選択できる。仮想化環境向けソフトについては、スナップショットを無制限に単一ストレージプールへ保存する「SnapshotIQ」と負荷分散を備えた「SmartConnect」、リソース管理の「SmartQuotas」といった3種類を用意している。

 価格は販売代理店によって異なるが、「これまでより約40%割引の特別価格で提供する」(グッドウィン代表取締役)としており、SANを構築するストレージ機器に比べて安価に設定している。販売代理店にとっては、低価格で提供して儲けが出るかといった問題がありそうだが、「利益が確保できるように販売パートナー各社と価格交渉をした」という。加えて、「新規顧客を開拓できるという点でもメリットが大きい」と断言する。

 対象ユーザーについては、次世代データセンター(DC)の実現に向けてITインフラの増強を進めるDCをはじめ、SMBにアプローチをかけていく。なかでも、DC分野では中規模システムを掘り起こしていく方針だ。SANという、これまで主流だった仮想化の概念を、NASという切り口で、いかに仮想化環境を国内市場に浸透できるかに注目が集まる。グッドウィン代表取締役は、「IT技術やネットワークなどが進化するにつれて、ストレージ領域も変化しなければならない。『仮想化環境にNAS』という考えは、革新を遂げるための一手法だ」とアピールしている。(佐相彰彦)