愛媛県松山市に本拠を置き、ウェブシステム/サービス運用などを手がけるえむぼま(森正彦社長)は、四国を中心に展開する薬局チェーン「レディ薬局」の7店舗で公衆無線LANサービス「PitSpot(ピットスポット)」の実証実験を行ってきた。同社はこのサービスを商用化することにより、松山市内で愛媛ケーブルテレビが展開している地域WiMAXとシナジーを図るサービスを目指す。

森正彦社長
 松山市は、愛媛CATVが地域WiMAXに取り組んでいることを受けて、産官学がともにWiMAX関連のビジネスを検討するため「オープンワイマックス研究会」を発足させ、モデルの検討や、実証実験を行ってきた。

 地域WiMAXとは、WiMAXに割り当てられている2.5GHz帯の周波数のうち、UQコミュニケーションズ、次世代PHSサービスを行うウィルコムに付与された帯域とは別の、地域に限定して利用するために割り当てられたもの。えむぼまの「PitSpot」は、その取り組みの一環として昨年9月から、レディ薬局7店舗の軒先と駐車場で公衆無線LANサービスを実施してきた。

 えむぼまは、中古車販売情報サイトなどのコンテンツの企画開発を手がけるアイクコーポレーション、レディ薬局とともに「PitSpot協議会」を発足させて、実証実験を昨年12月31日まで行ってきた。

PitSpot実証実験サイト

 「PitSpot」の外見は、犬や猫を入れて運ぶペットキャリーそのものだが、中には無線接続に必要な機器を一式積んでいる。なぜペットキャリーかといえば、「アンテナを伸ばすスペースのこともあるが、違和感がないように見せたかったから」(えむぼまの森社長)という。

ペットキャリーで一式提供

 ロードサイドの店舗でもWiFi(無線LAN)接続が可能なホットスポットを用意し、電源にプラグを挿し込みさえすれば使えるようにする。ケーブルモデムを装備しているので、有線インターネットに切り替えることも可能だ。WiMAXは現状、一定地域に基地局を立てるドミナント形式をとっているため、人が集まる場所でなければビジネスが成り立たない「点」のビジネスだ。森社長は、「地域ではロードサイドのスーパー、ドラッグストアにも人が集まるので、市内中心部ではWiMAXを、郊外ではPitSpotをと、通信の“点”のビジネスを拡大することができる」という構想をもっている。本格的な運用が始まれば、ビジネスマンなど、インターネットを利用する人を郊外の商業施設などに集める手段の一助にもなる。

 えむぼまは、WiMAXの動きにあわせて、4月以降の商用化を検討している。PitSpotと自社のデータセンターを利用し、サイネージなどのクラウドソリューション提供を視野に入れるほか、VPNなどと組み合わせることで、オフィスでの業務利用の需要もつかむ考えだ。(鍋島蓉子)