エス・アンド・アイ(S&I、藤本司郎社長)は、これまでのサーバーやネットワークなどインフラを中心としたビジネスに加え、クライアント端末も含めた製品・サービスの提供という事業領域の拡大に踏み切った。第一弾として、仮想デスクトップシステムの「Secured Desktop Cloud(セキュアード・デスクトップ・クラウド)」を提供、DaaS事業に本格着手した。

 「Secured Desktop Cloud」は、ヴイエムウェアの「VMware View」など仮想化されたインフラ環境のなかでモバイルPCを中心にクライアント端末の活用を可能としたシステム。ユーザーアカウントや起動用USB、PC本体、モバイルカードなどの個人認証と機器認証を完全に一致させるなど強固なセキュリティ認証が特徴となる。ユーザー企業は、セキュリティポリシーに合わせてクライアントPCのセキュリティ更新プログラムを適用することや、各種デバイスの利用可否をサーバー側で一元管理できるようになる。マイクロソフトの組み込みプラットフォームである「Windows Embedded」を搭載した起動用USBメモリをPCに差し込むことでサーバー上の仮想デスクトップを利用することになるため、すでに社内で利用しているPCを有効活用できるといった低コスト面も売りとしている。そのほか、Active Directoryや資産管理台帳との連携などユーザー情報を一元管理が可能だ。

 同社は、これまで仮想化を武器にサーバーやネットワークなど企業内のインフラ構築を中心にビジネスを手がけてきた。クライアント端末にまで領域を広げることになったのは、「案件のなかには、シンクライアントシステムを構築するケースがあったため」(伊藤英啓・先進技術推進部長)という。これまではユーザー企業の要望に応じて提供してきたが、「クライアントを網羅したシステムを構築できることを当社側からアピールしていく」(同)方針だ。内部統制の観点からユーザー企業がクライアント端末のシンクライアント化を求める傾向が高まりつつある。だが、シンクライアントシステムが高額であることや、管理の負担といった課題が挙がっている。このような状況から、同社はコストを抑えて管理が簡便な機密情報の持ち出し防止が可能なシステムを市場投入したわけだ。

 今後は、「さらにユーザー企業が手軽に強固なセキュリティ環境下でクライアント端末を利用できるようにDaaSの提供拡大も視野に入れる」(藤本社長)方針を示す。現在は、データセンターを所有する事業者と話を進めている段階。ユーザー企業の裾野を広げていくことで売上高を確保する考えだ。初年度となる今年度(2011年3月期)は売上規模として10億円の見通しを立てており、1案件あたりの平均額5000万円で、20案件の獲得を見込んでいる。(佐相彰彦)

藤本司郎社長(写真右)と伊藤英啓部長