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セレゴジャパンの幹部にインタビュー、法人向けサービス展開などを聞く

2011/10/31 10:37

 セレゴ・ジャパン(ポール・グリーンバーグ社長)は、記憶効率を高めて学習能力を上げるテクノロジーを開発するシンクタンクとして、2000年に設立された。現在、語学学習サイト「iKnow!」で英語・中国語のコンテンツを提供している。ウォールストリートジャーナルの人気コラムニスト、ウォルト・モスバーグらが立ち上げたテクノロジーイベントのアジア版「AsiaD」で、日本で唯一デモンストレーション企業に選ばれた世界でも注目の企業だ。

ポール・グリーンバーグ社長、北條大介執行役員 COO

 セレゴ・ジャパンは、07年、特許をもつラーニング・テクノロジーにもとづいた英語学習SNS「iKnow!」を開設。機能拡張などを進めながら、今年1月に有料英語学習サービスとしてリニューアルし、3月に本格展開を開始した。5月には、法人向けソリューションとして「iKnow! for Business」もリリースし9月には学習言語を拡充して中国語の基礎学習コンテンツ「基礎中国語~Core2000~」の提供を開始した。

 セレゴ・ジャパンの提供するサービスは「コンテンツ」「ラーニングサイエンス」「テクノロジープラットフォーム」の三つの特徴を持っている。

 「コンテンツ」では、例えば提供している主要コンテンツ「CORE3000」を編纂するにあたり、オックスフォード大学が中心に制作した英語用例1億語のデータベース「ブリティッシュ・ナショナル・コーパス」から実績、使用頻度が高い言語を独自分析。覚えるべき優先度を割り出したうえで、目視でさらに選別し、精度を高めている。

 「ラーニングサイエンス」では、反復学習によって長期記憶形成を支援する方法論を展開。「人間はインプットされた情報を再学習しないと忘れていく。システムが忘却曲線に基づいて、正解/誤答をリアルタイムで自動計算して、ユーザーそれぞれに合った効果的なタイミングで再学習できるようにすることで、長期記憶として定着させることが可能だ」(北條大介執行役員COO)と特徴を話す。

 「iKnow!」は、PCだけに限らず、スマートフォン、タブレットなど複数のデバイスでアプリケーションがシームレスに連携する「テクノロジープラットフォーム」で、学習履歴を同期することができる。

 学習機能は、単語、ディクテーション、音声をまねて音読するシャドーイングによるスピーキング練習など。例文では関連する画像も一緒に表示するので、目、耳、脳で学習を進めていくことができる。学習履歴はカレンダーでみることができ、ユーザー自身のパフォーマンスや学習時間を自動的に解析し、学習方法を提案してくれる。1セッション5アイテムからの学習で、通勤などのすき間の時間を有効に活用できる。覚えたい単語をユーザー自身が例文を作って登録すると、自動的に音声がつく機能など、サービスで実現できることは多彩だ。「基本は一人での勉強。モチベーションを維持するために、TwitterやFacebookに学習成果を気軽にフィードできる」(グリーンバーグ社長)。

 3月の本格的な有料化後、2万5000人が利用している。トライアル登録も含めると、10万人が利用している。法人としては、「40の学校・企業がサービスを利用している」(北條COO)という。また、海外向けにも日本語・中国語のコンテンツを提供していて、全体の10%は海外のユーザーだ。

 学校向けサービスでは、NTTグループの教育ICTの実証実験に賛同、その一環として、岡山県倉敷市の中学校で3年間にわたって英語の実証実験を行っている。中学校や高校では英検、大学でもTOEICのスコアは重要視されている。ビジネスにおける英語の必要性も高まっているが、外部機関を利用した研修費は高額だ。「iKnow!」は1か月あたり1ユーザー700円という低価格を実現した。今後は企業向けサービスに寄せられた要望を反映することで、プログラムをブラッシュアップしていく。

 北條COOは、「語学学校の問題点は、学ぶ人が続かなかったり、通うことができなかったりすることだ。すき間の時間を利用した効果的な学習を広く伝え、とにかく多くの人に使ってもらいたい」と語っている。(鍋島蓉子)
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外部リンク

セレゴ・ジャパン=http://www.cerego.com/ja/

「iKnow! for Business」=http://iknow.jp/business

「iKnow! for School」=http://iknow.jp/school