ICT(情報通信技術)事業を手がけるBTジャパン(吉田晴乃社長)は、クラウドサービスの提供に乗り出す。今年5月に新設した東京データセンター(DC)を基盤として、SI/通信パートナーとともに、ユーザー企業の海外展開を支えるサービスを投入する。英BTグループがアジア事業の強化を課題とする状況にあって、ユーザー企業の海外進出が進んでいる日本でのビジネスに拍車をかける。

吉田晴乃 社長
 BTジャパンは、強力な耐障害性を備える東京DCを5月にオープンした。このDCを活用して、医薬品開発の情報共有ができる製薬業向けクラウドや金融業向けのオンライントレーディングなどのサービスを投入していく。

 吉田社長は、「当社がグローバル対応のプラットフォームを提供して、日本のパートナーに各種サービスをくっつけてもらうかたちで展開したい」と、クラウドの提携モデルを語る。詳細については明言を避けたが、すでにITベンダー数社との共同展開を進めているという。

 BTジャパンは、新DCの開設のほか、東京本社内に同社のソリューションを体験できるデモ施設を開設した。海外の同様施設とつないで、国境を越えたサービスの活用シーンをアピールする。こうした取り組みからは、設備投資を重視し、ビジネス成長の基盤づくりに力を入れている姿勢をうかがうことができる。

 英国に本社を置くBTグループにとって、日本などアジアでの事業拡大が急務になっている。2012年度のグローバル売上高は2兆8093億円と高水準を維持しているが、前年度比5%減と下降気味だ。金融危機に悩むヨーロッパ(英国を含む)の売上比率が77%を占め、成長市場と位置づけるアジア太平洋やラテンアメリカは11%とまだウエートが小さいことが売上減につながった。

 クラウド事業をはじめ、日本でのビジネスを拡大するために、いかにパートナーを巻き込むかが重要となる。吉田社長は「成熟市場の日本で単独では事業が伸びない」として、大手メーカー系など「日本のITリーダー」との協業に力を注いでいる。同社のバックボーンとなっている高いセキュリティ性やコストメリットを訴求し、パートナー開拓を進める。

 BTジャパンの事業計画を後押しするのは、景気回復の兆しによる企業の海外進出の加速化だ。吉田社長は、「アベノミクスのおかげで、ようやく当社の強みを発揮することができるチャンスがきた」と捉え、グローバルサービスの提案活動に取り組む。(ゼンフ ミシャ)