ITホールディングスグループのTIS(桑野徹会長兼社長)は、ITコンサルティングサービスを刷新する。IoT(モノのインターネット)やビッグデータ分析、デジタルマーケティングなどの手法を軸とした“情報活用”のコンサルティングサービスを本格的に拡大させる。

 同社のITコンサルティングは、主にSAPやOracleのERP(統合基幹業務システム)を軸としたサービスを手がけてきたが、「ERPなどバックエンド(基幹業務)系に加えて、フロントエンド(情報)系のコンサルティングサービスを一段と拡充させる」(TISの正木俊輔・IT戦略コンサルティング部マネージャー)。SAP、OracleのERP軸のコンサルに続く、“コンサル三兄弟”としてバックエンドからフロントエンドまでサービスのカバー範囲を大幅に広げることでビジネスを伸ばす。

 TISグループは「戦略コンサルティング」を専門とするTISビジネスコンサルタンツが存在するが、「ITコンサルティング」はTIS本体のコンサル部門が手がけている。ERP活用のコンサル手法は早い段階からTIS社内で確立していたが、IoTやビッグデータ分析、ネット通販やショッピングモールの消費者動向など、「フロントエンド系のなかでも非定型の“柔らかいシステム”をビジネスにつなげるには、それ専門のコンサル支援が不可欠」(TISの吉本正・IT戦略コンサルティング部主査)と判断した。

 ここでいう“柔らかいシステム”とは、IBMなどが盛んに提唱している「システム・オブ・エンゲージメント」の概念と通じており、IoTや各種センサデバイス、ソーシャルメディアから集まってくる消費者の非定型データを分析し、ユーザーにとって意義のあるかたちで可視化する。ERPの代表される記録型の「システム・オブ・レコード」の分析手法とは対照的なポジションにある。

 また、ネット通販やソーシャルメディアのユーザー動向といった、すでにデジタル化されている情報だけでなく、ショッピングモールやアミューズメント施設、事業所の導線などに人の動きを検知するセンサやビーコン(無線標識)を設置し、「デジタルとアナログの両方すべて網羅する仕組みづくり」(吉本主査)にも取り組む。

 まだ構想段階ではあるが、エンゲージメント系の情報活用の仕組みを顧客からのSI案件として受注するだけでなく、TIS独自のサービスプラットフオームとして商品化、サービスメニュー化することも視野に入れる。

 非定型のエンゲージメント系“情報活用”に役立つツールベンダーとの連携の強化や、金融向けのFinTechや製造、流通・サービスといった業種向けのテンプレート、サービスメニューなどの拡充にも取り組む。こうした施策によって、TISでは同コンサルティングサービス事業を向こう数年で直近の3倍ほどに伸ばしていく方針だ。(安藤章司)

TISの正木俊輔マネージャー(右)と吉本正主査