中国OTA(Online Travel Agency)市場の大手携程旅行網(Ctrip、粱建章董事局主席兼CEO)は6月3日、SaaS型業務系アプリケーションを提供する上海万企明道軟件(Mingdao、任向輝CEO)と、戦略提携を交わしたと発表した。これにより、ユーザー企業はMingdaoのクラウドマーケットプレイスで、Ctripの「企業差旅自助平台(法人向け出張管理システム)」をダウンロードし、簡単に利用できるようになる。

 中国では近年、一般国民の生活レベルが向上し、週末や大型連休を利用して、国内や海外に旅行に行くことが珍しくなくなった。Ctripが提供するOTAサービスでは、ホテルや飛行機・鉄道のチケットの予約、観光地の割引入場券の購入、タクシーの予約、決済まで、すべての操作を同一のプラットフォームで完結できる。モバイルやPC、電話のほか、微信(ウィーチャット)でも利用でき、操作は簡単。さらに、24時間サポート体制による迅速な対応が評価され、今では9000万人の会員数を誇る中国最大のOTAサービスに成長。Ctripはニューヨークナスダック市場に上場している。


 同社は2014年、法人向けに企業差旅自助平台をリリース。これをきっかけに、長年得意としてきたB2Cサービスに加え、B2B市場の開拓を加速し始めた。それまでは、出張利用回数や利用総額に一定条件を設けていたため、ユーザー企業の獲得に苦労していたが、企業差旅自助平台では特別な条件を設けず、一人の出張ニーズにも対応。出張事前申請や承認、チケット購入、ホテル手配、旅費精算、報告書まで一連業務を企業差旅自助平台で完結できるようにした。サービス開始2年で、すでに一万のユーザー企業獲得に成功している。

 中国中小企業協会によると、15年の中小企業の数は、7000万社以上で、全体の99%になるという。また、Ctripが中小企業向けに行った独自の調査によれば、45%以上の中小企業は、紙ベースでの出張申請、経費精算を行っており、出張関連の業務効率を図るためには、「自動化」「自助化」が必要不可欠だと分析した。これを受け、微信や致遠、雲之家、班聊IMOなど、クラウド型業務系サービスとの連携を促進し、企業向け市場拡大を図った。

 アリババグループの阿里旅行は15年の「未来酒店(ホテル)1.0」に続き、5月19日には、VR(仮想現実)技術や生体認証など、最新技術で実現する「未来酒店2.0」を発表。Ctripにとって阿里旅行は、中国OTA市場最大のライバルとなるのは間違いない。Ctripが勝ち続けるには、ITサービス企業や銀行、第三者支払決済サービス企業との融合を加速することがカギになりそうだ。(文/鄭麗花)