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アドバンテック、開発者フォーラムでクラウド連携などIoT戦略を説明

2016/09/05 19:15

 産業用/組み込みPC大手のアドバンテックは8月31日、「アドバンテック組込み開発者フォーラム2016」を開催し、冒頭で日本法人のマイク小池社長がIoT時代における同社の戦略を説明した。小池社長は「ここ数年で、IoTにビジネスチャンスがあることがトレンドとしてはっきりわかるようになった」と述べ、同社が2010年以来「インテリジェント・プラネットの実現」というビジョンを掲げ、IoTを注力領域とする戦略が実を結ぶ時期にきたことをアピールした。(日高彰)

アドバンテック
マイク小池社長兼日本地区総責任者

 アドバンテックの戦略の柱は、「IoTの進化に伴うエンベデッド・デザインサービスの加速」「IoTプラットフォームの提供による新しい市場の創出」の2点としている。前者の戦略は、製品ポートフォリオをIoTの潮流により適した形へと拡充するものだ。同社は産業用機器に組み込まれるボードコンピュータで大きなシェアを獲得してきたが、ボード単体のみならず、対応する周辺機器やソフトウェアなどもトータルで提供することで、ハードウェアの制御に慣れていないITベンダーでも、センサ等を活用したIoTソリューションを短期間で開発できるようにする。

 後者のプラットフォーム戦略は、アライアンスを通じたエコシステムの確立と読み替えることができ、特に近年はクラウドの分野での協業が拡大している。アドバンテックでは、デバイスのリモート監視、セキュリティ、映像伝送、ネットワーク管理など、IoTソリューションの構築に必要な機能モジュールを、「WISE-PaaS」の名称でクラウドサービスとして提供している。マイクロソフト、日本IBMと提携することで、WISE-PaaSとAzureまたはBluemixを連携可能とし、IoTを即座に顧客のビジネスに適用するための環境を整えている。

 また今年5月、IoTソリューションの評価や実証実験を簡単に行える2種類の「スターターキット」を発売。一つはインテル製CPUと組み込み向けWindowsを搭載した組み立て済みのキットで、センサが取得したデータを集約し、WISE-PaaSまたはAzureへ転送するためのゲートウェイとして機能する。もう一つはARMアーキテクチャの開発用キットで、ボードコンピュータとそれを動作させるための周辺デバイス、開発環境やサンプルコード、ドキュメント等をワンパッケージにまとめた製品となっており、ARMベースのアプリケーション開発をすぐに始めることができる。

 アドバンテックは8月、日本地区でマイクロソフトのクラウドソリューションプロバイダー(CSP)に認定され、従来行ってきた組み込みWindowsの再販・OEM提供に加え、Azureの取り扱いも開始した。IoT実現に必要なインフラをワンストップで提供することで、顧客やパートナーが、アプリケーションやビジネスの設計に集中できるようにするのが狙いだ。

 小池社長は、IoT市場の成長を3つのフェーズに分け、フェーズ1はIoT用ハードウェアが中心の市場、フェーズ2はそれにソフトウェアやクラウドが加わったIoTプラットフォーム市場、そしてフェーズ3は顧客のビジネスに沿うIoTソリューション/サービスの市場と定義。現在はフェーズ2が立ち上がった段階であり、ITベンダー各社がフェーズ3でIoTビジネスに取り組めるよう、アドバンテックはIoTの基盤となる製品・サービスを充実させていく考えを示した。

「2016年はIoT市場のフェーズ2が始まったところ」と分析する小池社長
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外部リンク

アドバンテック=http://www.advantech.co.jp/