広島県情報産業協会(HIA、有馬猛夫会長=ネクストビジョン社長)は、受託ソフトウェア開発に次ぐ事業モデルを産官学で生み出すため、昨年からIoT(Internet of Things)に関する研究を開始した。製造業が集積する土地柄を生かし、“広島発”のフレームワークやAI(人工知能)、制御ソフトの研究・開発などの構築を目指す。

 2016年8月には、同協会の経営委員会「ITイノベーション研究部会」内にIoTを研究する「IoT特別研究部会」が発足。具体的に顧客に提案するまでの知識やノウハウの蓄積を開始した。研究部会には県のITベンダー15社が参加。昨年だけで4回の研究部会を開催。センサやリアルタイムデータ処理、通信技術などの要素技術、ビッグデータ解析やAIに関連する事業を推進するITベンダーとの意見交換を行った。

201701231836_1.jpg
福井五郎
理事
 研究部会の設置を指南した昨年度まで同協会の前会長(現理事)だったエレコム情報サービスの福井五郎社長は「広島県は世界的に有力な製造業が多く集積する。しかし、情報サービス産業ではIoTに関する市場が育っていない。今後、受託ソフト開発市場は減少が予想され、広島ならではの取り組みでIoTを次の市場に育てたい」と、広島の事情に合ったIoTのモデルを構築するため、製造業やセンサ技術をもつ産業団体や大学、行政機関などと連携し研究していくという。

 計画では、広島県や広島市の来年度(18年3月)の研究予算を獲得し、昨年まで研究してきたことを具体化する。また、協会内の加盟企業にアンケート調査を実施し、より多くのITベンダーを巻き込む計画だ。

 広島県には、大手自動車メーカーのマツダが本社を置くほか、同社に関連する部品メーカーなど、製造業が多く存在する。福井理事は「車のなかの制御技術や生産ラインのロボットコントロールなど、汎用的なIoTモデルをつくるのではなく、地場の製造業に応じた個別の開発を担いたい」と、地場の企業の密接に結びつくきっかけにする。(谷畑良胤)