TIS(桑野徹社長)は、ユーザー企業と国内外のIT系スタートアップ企業とのマッチングを加速させる。新しいビジネスアイデアやITサービス・技術を求める顧客企業と、国内外のスタートアップ企業を引き合わせることで、TISの新規のSI(システム構築)ビジネスにつなげていくのが狙いだ。とりわけスタートアップの参入が相次いでいるFinTechやAI(人工知能)、IoTといった領域では新しいビジネスモデルや技術開発が活発で、こうした活力をTISの既存のビジネスに取り込むことで次の成長につなげていく。

スタートアップ企業を巻き込んだ事業創出では、まず(1)スタートアップ企業とTISの協業、(2)スタートアップ企業とTIS、顧客企業との三者連携、(3)TIS自身のイノベーションの三つを想定している。カギを握るのは(2)の三者連携だ(図参照)。
 
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林口文彦
センター長

 例えば、TISが得意とする金融業界向けのSIビジネスでは、FinTech領域のニーズが高まっている。金融ユーザーの基幹系システムとFinTechサービスとをつなぐ新しいAPIを開発する際、国内外のFinTech系スタートアップ企業と連携することで、「これまでにない斬新なAPIやサービスを短期間で実装できる可能性が高まる」と、TISの林口文彦・インキュベーションセンター長は話す。一方、スタートアップ企業は顧客基盤がぜい弱なことが多く、TISが抱える大手ユーザー企業とのマッチングによって、大口顧客とTISを介して協業できるメリットがある。

 直近1年間を振り返ると国内外のスタートアップ企業およそ300社と何らかの接触を行い、うち100社近くと協業の検討にまで踏み込んで交流を進めてきた。同時にTISの顧客企業50社余りともスタートアップ企業を絡めるなどしたイノベーション取り込みの検討を重ねており、「イノベーション・エコシステムを一段と加速させていく」(林口センター長)考えだ。

 また、スタートアップ企業に投資する「コーポレートベンチャーキャピタル」を昨年度(2017年3月期)から運用をスタート。直近では今年2月に自律移動型ロボット開発ベンチャーのSEQSENSEに出資している。海外関連では、米シリコンバレー地域だけでなく、イスラエルや東欧といったITに力を入れている国や地域にも出向いていき、スタートアップとの協業を模索。昨年7月にはカード会社のJCBとTIS、そしてイスラエルの決済分野で活躍するスタートアップ企業とFinTechをテーマにしたハッカソンを開いている。

 今年度(18年3月期)も引き続きイノベーション・エコシステムを推進していく方針で、このエコシステムの枠組みのなかで5~10案件ほど事業化に結びつけたい考えだ。(安藤章司)