エッジコンピューティングのニーズをつかむ

 キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS、神森晶久社長)は、製造業での“エッジコンピューティング”ニーズへの対応に力を入れている。

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岡下秀典課長(右)と伊藤嘉康氏

 同社は生産設備の監視制御システムを手がけており、この監視システムをエッジに見立てて、積極的に活用する。生産設備からは日々大量のデータが発生しており、IoTなどで活用するには、まずはデータを整理し、わかりやすいよう見える化する前処理を行う必要がある。この前処理を監視システムに担わせることで、「データの有効活用につなげていく」(岡下秀典・企画販推部企画販推課課長)戦略だ。
 
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 キヤノンITSは、製造業向けのSI経験が豊富で、かつ生産現場に向けて仏シュナイダーエレクトリックのグループ会社が開発する監視制御システム「Wonderware(ワンダーウェア)」シリーズや、サイバネットシステムが開発したビッグデータ可視化ツール「BIGDAT@Viewer(ビッグデータビューア)」などの製品を取り扱っている。監視制御システムは、生産設備の稼働データを集めて可視化するソフトウェア。一般にSCADA(スキャダ)と呼ばれるジャンルで、市場的には成熟度が高い領域とされてきた。

 ところが、ここにきて国が推進する「Society 5.0(ソサエティー)」、またそれにつながる「Connected Industries(コネクティッド・インダストリー)」の政策によって、生産設備をIoTの一つと捉えて、そこで発生するデータを生かす動きが活発化。生産設備で大量に発生するデータを活用するには、一旦、どこかでデータを整理して、使いやすいようにするエッジコンピューティングの手法が有用だとされている。Wonderwareは、製造現場におけるエッジに位置するため、製造IoTやビッグデータ分析のプラットフォームとして機能することが期待されている(図参照)。

 折しも鉄鋼メーカーや自動車関連メーカーなどの品質問題が相次いでいる。データを可視化して、皆で共有したり改竄されないような仕組みによって、不祥事や事故を未然に防ぐ取り組みにも関心が高まっている。

 キヤノンITSでは、「Society 5.0」になぞらえて、「可視化5.0」と銘打つ。可視化機能が充実したWonderwareシリーズの監視制御システムや、データ履歴がしっかりと記録される高速時系列データベースなどを製造業ユーザーに改めて提案したところ、「顧客からの強い引き合いを得られた」(企画販推部プレサポート課の伊藤嘉康氏)と手応えを感じている。受注も堅調に進んでおり、今年度(2017年12月期)は前年度比で10%余りの増加を見込んでいる。(安藤章司)