リスク低減や業務効率化を実現

【上海発】中国国内外への貨物輸送や倉庫、引越サービスを手がけている上海丸協運輸(神並充董事長総経理)。市場環境が変化するなか、着実に事業規模を拡大してきた同社だが、従来の人手による情報管理には限界がみえ始めた。そこで、佳報(上海)信息技術(JBCN上海、久保亨董事長総経理)の支援のもと、フレックスシステムファームが開発する倉庫管理システム(WMS)「検品君」を導入。業務の標準化に向けた取り組みを加速させている。(上海支局 真鍋 武)

 上海丸協運輸は、1994年に設立した日系物流会社だ。上海、北京、成都に事業所を構え、パートナー企業と連携して、中国全土(チベットを除く)で貨物運送サービスを提供。上海や江蘇省などに合計11の倉庫を保有するほか、国内・国際間の引越サービスも展開している。

 中国では、規制緩和や政府の優遇措置を受けて、物流市場に参入する企業が増加。安価なサービスを武器とする中国企業が多いが、上海丸協運輸 営業担当の小島威彦氏は、「安全基準をクリアできない、貨物にキズをつけてしまうなど、品質が低い新規業者が少なくない。一方で、お客様の品質に対する要求は高まっている」と現状について語る。上海丸協運輸は日系企業ならではのきめ細やかなサービスを強みとして、近年では日系に加え、欧米系や中国系の企業にも顧客層を拡大してきた。
 
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小島威彦
営業担当

 ただし、事業規模の拡大に伴い、課題も浮上。従業員数は120人ほどに膨らんでいるが、入荷の検品や配車の管理、出荷の指示、倉庫への搬入といった業務で扱う情報を、すべてExcelによる手作業で行っていて、限界がみえてきたのだ。取引企業数も、扱うモノの量も増える一方で、中国の人件費が高騰し、それらの業務にあたるスタッフを安易に補充できない。小島氏は、「作業ミスの頻度が増えるなど、お客様にご迷惑をかける可能性があった」と当時を振り返る。

 これら情報を、各担当者が自分にとってやりやすい方法で管理し、ブラックボックス化していることも課題だった。いわゆる業務の属人化だ。小島氏は、「例えば、伝票一つを探すのにも、担当者に直接問い合わせしなければ手配できないなど、非効率な部分があった」と漏らす。また、属人化していると、担当者が休職したり、転職したりする際に、業務を簡単に引き継ぐことができない。そこで上海丸協運輸では、リスク低減や業務の標準化に向け、システム導入を検討した。

 まずシステム化を進めたのは、倉庫サービスの管理業務だ。近年、上海丸協運輸では、大手日系食品メーカーとの取引が拡大しており、倉庫サービス事業の重要度が増していたからだ。手組みのシステムを構築するには、大規模なIT投資が必要になるとみて、小島氏はパッケージ型WMSの導入を検討。結果的にJBCN上海が提案した「検品君」を採用した。採用の決め手について小島氏は、「基本機能が充実して汎用性が高いうえに、日本での実績が豊富で安心感があった」と説明する。検品君は、ハンディターミナルを通じて、入庫、保管、出庫などの基本業務をシステム上で管理できるパッケージ製品。約1500倉庫で導入実績をもつ。モジュール導入型なので、ユーザーは必要な機能だけを選択すればコストを抑えられる。また、JBCN上海のサポート体制も高く評価した。小島氏は、「中国のITベンダーは、導入が終わったら、後は電話対応のみで、しっかりサポートしてくれないという声をよく聞く。一方、JBCN上海は、当社のハードウェア導入時にも支援してもらい、サポートがすぐれていることがわかっていた。何かあったら、すぐに一緒に倉庫に駆けつけてくれる」と話す。小島氏はシステム導入プロジェクトを推進しているが、本職は営業担当。複数の業務を兼任しているからこそ、信頼できるITパートナーの存在は欠かせなかったのだ。

 その後、第一弾として大手食品会社向けに提供している上海の倉庫で検品君を導入。16年6月に正式稼働した。スタッフが混乱する恐れがあったため、オペレーションは刷新せず、まずは現状のやり方に合わせてシステムを採り入れ、手作業で行っていた部分をハンディターミナルに置き換えるところから開始した。その結果、作業効率が向上。小島氏は、「例えば、欠員などで補充した派遣スタッフでも、1~2時間の教育で、すぐに業務を行える。これまでは、熟練の作業者が、個々の頭のなかで、どこに何があるのかを把握していた。これが、システム上に住所をつくることによって、誰でもピッキングできるようになった」と話す。同時に、作業ミスも軽減。「誤出荷がまったく起きない。当社が扱う食品はみた目が似ていて、間違えやすいものが多いが、いまはシステムが判断するので間違いが起きようもない」と小島氏は満足げだ。

 今後は、システムの導入範囲を広げるとともに、業務の標準化を進めていく方針。また小島氏は、「当社のサービスの品質をさらに高める。出荷状況の情報を開放するとともに、運送管理システム(TMS)を導入して、お客様が貨物の状況を追跡できるようにしたい」と構想を語る。