業務効率化の観点から、近年注目を集めているRPA(ロボティック・プロセス・ オートメーション)。民間企業を中心に導入が加速するなかで今年1月、茨城県つくば市がNTTデータグループ3社(NTTデータ、クニエ、日本電子計算)とともに自治体のRPA活用推進に向けた共同研究を開始すると発表し、5月にその成果が明らかになった。

自治体のRPA導入、加速の兆し

 自治体でのRPA導入事例はこれまでにも存在するが、全庁展開を想定したケースは今回が初めてであることから、開始時から注目されていた。成果発表後、案件を手掛けたNTTデータグループ各社に反響が多く寄せられているといい、これを機に自治体へのRPA導入に拍車がかかりそうだ。

 共同研究の実施にあたり、まず、つくば市全職員を対象としたアンケートの結果や個別業務の調査・分析を通じて、RPA導入効果の高い業務を特定。その結果、基幹系業務(個人住民税、法人市民税、市民窓口)、内部事務系業務(財務関連、勤怠関連)をRPA適用対象業務として選定した。

 RPAツールは、NTTグループが開発する「WinActor/WinDirector」を採用。取り組みの結果、とくに個人住民税と法人市民税の対象業務では定型作業に従事する職員の負荷を79.2%軽減できたという。「大々的な導入ではなく、スモールスタートでも確実に成果は上がる」「プロセスの中で業務の棚卸し、見える化が実現できるため、それだけでも事務改善のきっかけになる」「小さな事務改善の積み重ねによって自治体全体の働き方改革にもつながっていく」ことがわかったと、日本電子計算の吉田陽平・公共事業部首都圏ソリューション統括部営業担当部長は総括する。

 成功裡に終えた共同研究の成果発表を受けて、NTTデータグループ3社には多数の問い合わせが入るなど、大きな反響を得ているという。東陽一郎・公共事業部営業推進部営業推進担当は、「働き方改革というとRPAが浮かぶものの、使い方がわからないという自治体が多かった。そうしたなかで、つくば市の事例が飛び込み、成果の出た報告書ができた。非常に関心は高い」と手応えをみせる。

 また、日本電子計算では「地方公共団体だけでなく、同業他社からのお声がけもあった」と、梶原聡一郎・公共事業部首都圏ソリューション統括部営業担当担当課長は話す。RPAをビジネス商材の一つとしている企業が自社ビジネスのヒントを手に入れるため、つくば市の事例について詳細情報を求めていたという。
 
(写真左から)梶原聡一郎氏、吉田陽平氏、東陽一郎氏

 なお、つくば市では今後も、RPAの適用範囲拡大を検討しながらRPAの活用を継続していく方針。RPAによる業務効率化の有効性を実証し、その反響の大きさを踏まえると、自治体でのRPA導入が加速し、RPAを手掛けるITベンダーにとっても、ビジネスチャンスが生まれそうだ。吉田部長は、「当社は住民税など今回のRPAの適用対象とした業務の基幹系システム『WizLIFE』を提供しており、その付加価値としてRPAを提案していけるだろう」と話し、RPAビジネスの推進に期待を示している。(前田幸慧)