新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)は、IoT関連の受注、実証実験中の件数が直近1年半余りで54件に達したことを明らかにした。足下では実証実験の割合が多いなどの課題を抱えるものの、「年を追うごとに受注に至る件数が増えている」(東條晃己・IoXソリューション事業推進部長)と、2019年に向けて受注ペースが加速する手応えを感じている。

 同社では、人にセンサーを取り付けて情報を分析する方式を「IoH」、モノから情報を得る方式を「IoT」と分類。受注/実証実験の内訳をみると、設備点検を担当する作業員などを対象としたIoH領域が42件、プラントや生産ラインなどを対象としたIoT領域が12件となった。同社では人やモノを包含した独自の概念として「IoX」を提唱している。
 
新日鐵住金の製鉄所に納入した「IoX」と同等のデモ機

 当初計画ではIoX関連の年商を20年に30億円規模に増やす計画だったが、受注ペースが加速していることを受けて、50億円に上方修正することを視野に入れている。

 直近の新日鉄住金グループ向けのIoX納入事例では、新日鐵住金の製鉄所で勤務する作業担当者にスマートフォンやスマートウォッチ、温湿度計を装備。これらデバイスから得た情報を製鉄所の管理者のモニターに映し出し、いま、どこで、誰が、どんな作業をしているのかを一元管理する仕組みを納入。これまでは、無線機で「今からこの作業を行う」などと現場と管理者と連絡をとりあっていたが、IoXを導入してからは画面上にリアルタイムで作業状況が表示できるようになった。今後、新日鐵住金の全ての製鉄所にこの仕組みを導入していく予定。

 
東條晃己
部長
 写真は、作業員が携帯するスマートフォンとスマートウォッチのデモ環境。スマートフォンは作業服のポケットに入れ、現場での操作はスマートウォッチのみで行う。現場と管理者が写真や映像を共有したり、現場同士の情報も共有できる。

 もう一つの事例は、新日鉄住金エンジニアリングで、こちらは国内外のプラントに取り付けてあるセンサーから得たデータをもとに、故障検知や故障予測を行うというもの。今年4月から本格的な運用を始めている。事前の実証実験では、過去の故障に至る前段階のデータを分析システムに通したところ「12事例中、10件で故障を事前に検知することができた」(畠山康博・IoXソリューション事業推進部専門部長)。

 プラントから得たデータから検知/予測を行う分析ロジックは、NSSOLのシステム研究開発センターで随時アップデートし、最新の分析モジュールを適用。継続的に精度を高めていく仕組みだ。(安藤章司)