データセンター(DC)事業、通信ネットワークサービスのグローバル大手ベンダーである英Coltは、日本を中心にアジア地域への投資を強化している。今年6月には、「東京塩浜データセンター(塩浜DC)」のリニューアルを完了した。クラウドサービスの広がりやITシステムで活用するデータ量の爆発的な増加に伴い、DCの重要性は高まるばかりだ。Coltの最新DCにはどんな工夫が施されているのか。メディア向けに公開された塩浜DCを取材するとともに、同社の最新の事業戦略を探った。(取材・文/銭 君毅)

サーバールーム内

「印西2」はColt史上最速で完売

Coltテクノロジーサービス
アジアDCS本部アジア地域
営業統括責任者の
ラス・スコレイ氏
 現在、Coltは世界に24のDCをもっており、16か所がヨーロッパ、8か所がアジアにある。そのうち日本国内には5か所が集中している。今年6月、その一つである「東京塩浜データセンター(塩浜DC)」のリニューアル工事が完了した。

 Coltは1992年の創業から順調に業績を伸ばしてきた。2002年に今回リニューアルした塩浜DCを設立し、11年に印西データセンター(印西1)を設立、17年には印西に2棟目を設立した(印西2)。印西2は完成してから半年という短期間でフロア全てが完売したという。ColtグループでAPACにおけるビジネスを担うColtテクノロジーサービスのラス・スコレイ アジアDCS本部アジア地域営業統括責任者は「これほど早く完売したのは、われわれが知る限り初めてのこと」だと語り、その要因として三つの強みをあげた。

 まず、20年以上にわたる実績である。Coltは創業期からDC事業を手がけてきた。今に至るまで顧客からのフィードバックをもとにサービスの質を高め続けているという。

 二つめがコネクティビティだ。Coltは主要インターネットエクスチェンジ(JPIXとJPNAP。BBIXは対応予定)との契約で、全世界800以上のDCと相互接続し、安定したコネクティビティを確立している。また、完全に独立したキャリアニュートラルな立ち位置であるため、「顧客に合わせたサービスを提供できることも特徴の一つ」だと強調した。

 最後の三つめが、顧客からの要望への対応力だという。キャリアニュートラルであること以外にも、リモートハンズやキャパシティオンデマンドにも対応しているため、「柔軟な契約やSLA(Service Level Agreement、サービス保障契約)に応えることができる」としている。
 

近く大阪で新たな動きも

 近年、Coltはアジアへの投資を強化している。計画されている事業の拡張は全てがアジアで進められている。東京、大阪、ムンバイ、シンガポールなどで新たなDC設立に向けた検討が始まっており、大阪については近いうちに新たな発表もあるとのことだ。

 一連の事業展開をみると、アジアのなかでも日本に対する投資の割合が大きい。例えば、印西DCは4棟分のDCを設立することを見込んで広大な土地を確保していたり、これまで7対3だった直販とパートナー販売の比率を日本市場の特性に合わせて3対7に修正する目標を掲げているなど、グローバル視点でも日本にフォーカスしたビジネス戦略を展開している。スコレイ氏は「日本国内の経済は成長しているし、海外からの投資も増えてきた。5年先もこの成長は止まらない」と日本のポテンシャルに期待感を示した。
 

利便性と安全性を兼ね備えたDC

 同社はこのほど、リニューアル直後の新生塩浜DCの内部を特別にメディアに公開した。グローバル大手のDC事業者としての粋を集めた設備だという。
 
配電設備

 まずはサーバールーム。合計2000平米近くあるフロアの広さを持ち、ラックの収容スペースを十分確保している。各部屋に400ボルトの電力が供給され、PDU(電源の分配ユニット)が適切な電力に変換したうえでラックに届けられる。空調は1台82キロワットの空調機を10台完備し、水冷式で室温が保たれる。火災対策も強固で、フロアの東西が防火区画で分けられているほか、煙感知センサー、ガス消火システム、予作動式スプリンクラーの三段階で守られている。

 屋上には5台の水冷棟があり、6月当時は3棟が稼働していた。その隣には4500KVAの発電機がある。毎年点検は欠かさず、安全性は担保されているという。もちろん、電源系統や配線、バッテリーに関しても安全性の高い設計が施されている。並列接続、完全二重化、相互バックアップといった設計により一方が故障したとしても無停電で稼働できるシステムだ。

 地下には変電所とバッテリー室があり、変電所には1万5000キロワットの特高トランスが2台備え付けられている。当然こちらの保守点検もしっかりと行われている。バッテリー室のバッテリーは耐用年数が15年のものが多かったとのことだが、実際には13年でリプレースしていた。ここで重要なのは、こういった点検リプレースの予算はすでに中長期計画に組み込まれていることだという。アジアDCS本部 データセンター・オペレーション部 ファシリティグループ マネジャー 建部真悟氏は「昨今のDCは設備の老朽化が進んでおり、いかに設備を更新していくかがポイントになる」として保守の重要性を語った。

 そのほか、24時間365日体制の監視システム、顧客や社員向けのリラックスルームやステージングルーム、各種堅牢な認証によるセキュリティなど利便性と安全性を兼ね備えたDCとなっていた。