フューチャーグループのワイ・ディ・シー(YDC、山本智明社長)は、製造業のマスカスタマイゼーションの支援事業に力を入れている。マスカスタマイゼーションとは、量産部品と特注部品の組み合わせを最適化して、コストを下げたり、競争力を高めたりする取り組み。これを実現するには、設計の段階でコスト計算がしやすいよう配慮する必要がある。YDCでは、設計から受注に至るまでワンストップで支援することで、製造業のニーズに応えていく。

 マスカスタマイゼーションは、PCのBTOのように、CPUやメモリ、SSDなど量産品を組み合わせるタイプと、量産品を使いながら一部で特注品で対応するタイプの大きく二つに分けられる。後者は、例えば化学品の貯蔵タンク向けの温度センサーをつくる場合、センサーそのものは量産品でも、タンクの大きさに合わせて取り付け器具を個別につくったり、貯蔵する化学品で腐食しないような特殊な防護皮膜をつけるなど、顧客のニーズに合うようカスタマイズしていくものだ。
 
ワイ・ディ・シーの田中剛・執行役員(左)と
八重島師門シニアアーキテクト

 YDCでは、とくに後者のマスカスタマイゼーションを主なターゲットとして、最もコストが安く、納期が短くなるよう支援することに力を注ぐ。製造業でもB2B(企業間の取引)では、マスカスタマイゼーション方式で受注する割合が高く、「マスカスタマイゼーションの能力をいかに高め、すばやく見積もりを出し、最短で納品できるかが製造業の競争力に直結する」(田中剛・執行役員共動創発事業本部長)とみている。

 極論だが、全てを特注品で受注すれば、製造業にとっての売り上げは最も大きくなる。ただ、それではコスト面でライバル他社に負けてしまう。かといって量産品だけでは対応できない。そうしたとき、「量産と特注を設計の段階から考慮に入れて、どのようなリクエストがきても、最適な組み合わせによって競争力を高めるのが“CPQ”ソリューション」(八重島師門・共動創発事業本部シニアアーキテクト)だという。

 CPQは、構成・価格・見積もりの頭文字をとったもので、YDCのCPQ事業を含むフロントエンド・イノベーション事業セグメントの売上高はここ数年、2~3割増の勢いで推移している。今はコンサルティングを中心にマスカスタマイゼーション支援を行っているため、「こなせる案件数に限りがある」(田中執行役員)ことが課題。今後はシステム化、アセット化率を高めることで効率化を推進。受注数を増やせる体制づくりを進めていくことで、CPQ事業を一段と伸ばしていく方針だ。(安藤章司)