富士通エフ・アイ・ピー(島津めぐみ社長)はEDIサービス事業の拡大に注力する。昨年12月に全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)が開始した「全銀EDIシステム(ZEDI)」の活用やサードパーティーとの協業、同社自身のアナリティクス製品、フロントサービス向けのSaaS製品などと組み合わせた高付加価値提案などによりシェア拡大を図る。

 同社は1982年からEDIサービスを開始した老舗。流通業界を中心に顧客基盤を広げ、現在の「TradeFront」シリーズは小売約250社、卸・メーカー約3万社が利用しているという。宮崎暁久・EDIビジネス事業部EDIビジネス部長は「小売業に限っては約5割のシェアを獲得している。また、金融EDIも長くやっていて実績が豊富だ」と強調する。
 
宮崎暁久
部長

 ただし、経済産業省が流通システム標準化を進め、2007年に「流通BMS(流通ビジネスメッセージ標準)」を制定したことにより、「EDIサービスそのものは非競争領域になった」(岡克哉・ビジネス推進本部販売推進統括部エンタープライズサービス推進部長)という課題もある。
 
岡 克哉
部長

 そこで同社は近年、周辺サービスの機能向上に取り組んできた。今年6月に開始したZEDIを活用した新サービスもその一環で、TradeFrontの商取引情報とZEDIから取得する入金情報を自動照合し、売掛金や卸・メーカーが小売りに支払う販促支援金の入金消込を自動化する。宮崎部長は、「流通業界ではこの部分の業務負荷が長年課題になっていたため、ユーザーからの期待は大きい。ZEDI稼働後にいち早く具体的なサービスをリリースできたのは、流通に加えて金融EDIでも実績とノウハウがあったことが大きかった」と手応えを話す。

 同社ではさらに、分析サービスの「ValueFrontAnalytics」や、EOB端末による店舗発注システムの「ValueAnswer EOB」、ポイントシステムやキャンペーンの仕組みをSaaSで提供する「ValueFront ポイントサービス」といったほかの自社サービスをTradeFrontと組み合わせた提案を強化していく方針。さらに、受発注業務には紙が使われるケースがまだまだ多いことから、「AIを活用した他OCRサービスなどとも連携し、業務の自動化に近づけていきたい」(岡部長)としている。(本多和幸)