NECは、日本航空(JAL)の空港業務効率化に向けて、羽田空港(東京国際空港)の屋内外でIoTの有効性を検証する実証実験を7月~8月に実施した。空港特有の条件に対応しながら、屋外では空港内を移動する荷物コンテナ運搬車の位置把握を、屋内では格納庫で整備士の動線把握を行った。

実証実験のイメージ

 JALグループは、新技術による品質と生産性の向上に取り組んでおり、その一つとして、空港の屋内外のIoT活用を検討している。しかし、設備へのデバイス設置に制約がある、屋外の業務エリアが広大であるなど、課題を抱えていた。

 今回、NECはネットワークに関する知見や技術を生かしてコンサルティングを行い、通信手段としてLoRaWAN、Bluetoothを使ったIoTの有効性を検証する実証実験を実施。IoTデバイス、サーバー、データを収集・見える化するアプリケーションなどをトータルで提供するNECの「スターター向け実証パック」を採用することで、わずか3週間で迅速に実証実験を開始することができた。
 
荷物コンテナ運搬車

 まず、屋外の荷物コンテナ運搬車の位置把握には、GPSとLoRaWANのネットワークを採用。荷物コンテナ運搬車は、広大な空港内のさまざまなエリアを移動しており、限られた台数で業務を行うために、必要なタイミングに的確な場所へ配置する必要がある。

 そこで運搬車にGPSデバイスを取り付けるとともに、LoRaゲートウェイを用いてLoRaWANのネットワークを構築。その結果、2セットのLoRaゲートウェイで羽田空港屋外のほぼ全てのエリアをカバーし、運搬車の位置をリアルタイムに把握できることを確認した。これにより、機器の導入を最小限に抑えながら、広いエリアで通信が可能なLoRaWANの有効性を実証した。
 
格納庫における整備

 屋内の整備士の動線把握にはBluetooth(BLE)を採用した。ベテラン整備士から若手へのノウハウ継承や作業効率化のために、整備士の作業エリアの動線を把握することが求められている。実験では、整備士を想定したJALとNECの担当者がBLEデバイスを装着し、BLEネットワークを構築したツールルーム、格納庫、事務所内で作業を実施。その結果、航空機、作業用足場、壁などに電波が反射して干渉しやすい環境下でも位置を正確に検出できることを確認できたという。