日本オラクルは6月22日、中部電力パワーグリッドが公益業界向けメーター・データ管理アプリケーション「Oracle Meter Data Management（MDM）」を導入し、700万台のスマート・メーターを設置したと発表した。この取り組みは、23年までに1000万の住宅や商業施設と連携することを目標とした大規模プロジェクトの一環となる。


　経済産業省は14年に、電力の安定供給、電気料金の抑制、消費者に選択肢を提供する開かれた小売市場の創出のために電力市場の自由化を行った。電力自由化の開始にともない、中部電力パワーグリッドはスマート・メーター・システムの導入に着手し、23年までに全顧客に展開する計画。

　また、既存のスマート・メーターからのデータを管理することで、電力の使用状況を視覚化し、発電・送電設備の効率を向上させると同時に顧客へのサービス向上を図る。例えば、顧客の目標電力使用量に達することをメーター・データから判断して顧客に事前通知することができる。同様に、家屋の屋根に設置された太陽光発電パネルからの電力使用量を確認し、余剰電力を他の家庭に譲渡することができる。

　さらに、スマート・メーターのデータを活用することで、中部地方の電力小売事業者が料金計算や柔軟な価格設定などのサービスを継続的に向上できるようにする。これには、顧客による電力の効率的な利用をサポートし、需要ピーク時の電力負荷を削減するための時間帯別（TOU）料金の導入が含まれている。

　中部電力パワーグリッドでは、13年のスマート・メーター・プログラムの発足時に（パイロット・プログラムはその翌年から開始）、世界各地でスマート・メーターの設置に成功してきた実績に基づいて、オラクルの公益業界向けソリューション「Oracle Utilities」を選定。現在、オラクルは中部電力パワーグリッドのスマート・メーター制御管理システムを稼働させるインフラストラクチャーを提供している。中部電力パワーグリッドは直近で、700万台から1000万台のスマート・メーターへと拡大するうえでOracle MDMを新規バージョンへとアップグレードしている。

　また、中部電力パワーグリッドは、Oracle Utilities Smart Grid Gateway（SGG）を利用して高度メーター・インフラストラクチャー（AMI）データを一元化し、電力アプリケーションとスマート・グリッド・デバイス間の共通接続を実現している。例えば、電力小売事業者の顧客情報システムに一定の間隔で流れるデータを利用することで、顧客への課金を合理化できる。中部電力パワーグリッドは、スマート・メーターにコマンドをリモート送信することで、家庭へのサービスの接続／切断や電力負荷制限の設定などの操作を、現場作業員を派遣せずに行うことができる。さらにSGGは新規デバイス、データ・ストリーム、ビジネス・プロセス導入のコストと複雑さを大幅に軽減する。