野村総合研究所(NRI)は7月21日から22日の2日間、全国の企業の「人事・労務担当の部長・役員」または「人事企画担当者」を対象に、人材マネジメントの柔軟性と新型コロナウイルスの会社業績への影響・対応について、インターネットによるアンケート調査を実施し、様々な業種・規模の企業206社から回答を得た。この調査結果を、10月5日に発表した。

「しなやか」企業と「硬直」企業別に見た業績・業績見通しと、新型コロナウイルス対応

 調査では、(1)報酬体系、(2)評価運用、(3)任用・配置、(4)人材・組織、(5)労務環境の5つの観点から、人材マネジメントの柔軟性に関する6つの質問を各5段階評価で聞いた。これら6つの質問に対する回答の平均点が4以上の企業を“しなやか”企業、平均点が2以下の企業を“硬直”企業と定義したところ、しなやか企業は硬直企業と比べ、新型コロナウイルス感染が続く7月時点で業績と業績見通しが維持または好調と底堅く、新型コロナウイルス感染拡大に対しても「十分に対応できている」と回答していた。

 6つの質問への回答内容別に、新型コロナウイルス感染拡大後の業績見通しを分析した結果、とくに「人材の多様性」や「外部人材の活用」といった人材・組織面で点数が高い企業で、業績見通しが好調という傾向が見られた。人材・組織面の柔軟なマネジメントを進めることで、急激な環境変化の下でも業績を維持しやすくなる可能性が示された要因には、「業務の内容や様式、対応体制を環境変化に合わせて素早く調整しやすい」「多角的な視点から事業が推進できるため、様々なリスクに対応しやすい」「多様な事業を展開しやすく、リスクヘッジができること」などが考えられる。

 また、「IT・デジタルの活用」や「柔軟な人材配置・任用」「是々非々の評価運用」が進んでいる企業では、新型コロナウイルス感染拡大に対応できている傾向が見られた。これはたとえば、「IT・デジタルの活用」が進んでいる企業の方が、テレワークの推進がしやすいなどの事情によるものと考えられる。また、「柔軟な人材配置・任用」「是々非々の評価運用」が進んでいる企業は、「必要な対応などが、素早く、自発的に提案・実行されること」「会社や所属部署の環境変化を自分事として捉え、積極的な対応が進めやすいこと」といった要因が、今回の結果につながっていると推察される。