矢野経済研究所は、国内のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)市場を調査し、市場規模や市場動向、将来展望を発表した。

RPA市場規模の推移と予測

 19年度のRPA市場規模は事業者売上高ベースで420億円(前年度比54.4%増)、そのうちRPAツール製品は48億円(同45.5%増)、RPA関連サービスを372億円(同55.6%増)と推計した。すでに大手のユーザー企業でのRPA利用率は、19年度には高い水準に達していたが、RPA市場は引き続き急成長を遂げており、市場の勢いは続いていたことがわかった。

 20年度の同市場規模は531億6000万円(同26.6%増)、そのうちRPAツール製品は61億6000万円(同28.3%増)、RPA関連サービスが470億円(同26.3%増)になると予測する。20年度も成長が続いているが、新型コロナウイルスの影響でIT投資が抑制される傾向が出ていることや、顧客との対面機会が激減するなど、RPAツールベンダーの事業活動が制限されたことにより、前年度までの勢いはやや減速となる見通し。

 RPAは数年前にブームとなり、大きく注目を集めた。システム導入は急速に進み、ユーザー企業での導入率を見ると、現在では大手企業にはほぼ行きわたった状態にある。しかし、ごく一部の業務を対象とした小規模な利用にとどまっている企業が多い。

 RPA市場の本来のポテンシャルは大きいが、多くのユーザー企業がRPAを使いこなせておらず、導入効果を十分に得られていないことが課題となっている。導入に成功した企業では、サーバー型RPAを全社的に導入したり、デスクトップ型RPAを現場部門が積極的に活用するなど、利用拡大を進めている。20年度以降は、RPAの利活用が定着し、導入企業内での利用拡大フェーズに入る見通しだが、そのためには、より多くのユーザー企業がRPA導入の成功体験を実感することが重要となると考えている。

 将来展望としては、短中期的にみると、RPA市場にとっての好材料は多い。テレワークの利用増加で業務効率化に取り組む企業が増え、ペーパーレスやハンコレスによるデジタル化も進んでいる。コロナ禍によって業績が悪化した企業では省人化とコスト削減ニーズが高まり、一方で需要が増加して業務量が増えた企業でも、これまで通りの人員体制で迅速に処理を進めるためにはRPAの活用が有効である。また、これまでは導入が遅れていた中堅中小企業や地方自治体などでのRPA導入も進んでいく見通しである。

 21年度以降も中期的に成長は継続し、23年度のRPA市場規模は事業者売上高ベースで868億円、そのうちRPAツール製品は108億円、RPA関連サービスが760億円まで拡大すると予測している。