矢野経済研究所は、日本を含む世界主要33市場(32カ国1地域)の携帯電話サービス契約数やスマートフォン、フィーチャーフォンの市場を調査し、通信事業者別契約数や各種の出荷台数を予測しメーカーシェアなどを明らかにした。9月24日には、世界の携帯電話サービス契約数、ハンドセット(スマートフォン+フィーチャーフォン)、5Gスマートフォン出荷台数予測について発表した。

世界のハンドセット、スマートフォン、5Gスマートフォンの出荷台数予測
(出典:矢野経済研究所 ※ハンドセットはスマートフォンとフィーチャーフォンの合計)

 世界の携帯電話サービス契約数は世界の最大市場である中国、インドの伸びが鈍化傾向にあり、また先進国市場は契約数が頭打ちとなり増加余地が限定されるものの、アフリカや中南米の伸びは依然大きいという。一方で、先進国市場と一部の市場ではポストペイド(後払い)契約の推進とプリペイド(前払い)契約での本人確認手続きの厳格化により、使用されていないプリペイド契約が抹消され、契約数が大きく減少した市場が存在している。

 19年の世界の携帯電話サービス契約数は、81億274万7000契約となった。20年はアフリカや中南米では伸びが期待できるものの、新型コロナウイルス(COVID-19)による経済活動の停滞により新規契約数の増加は大きく鈍化することで、プリペイド契約の減少分を補完できず、20年の世界の携帯電話契約サービス数は前年比99.5%の80億6251万契約に減少する見込み。

 一方、世界の携帯電話端末市場は、ASEANやインド、アフリカ向けのスマートフォン出荷台数が増加しているものの、最大市場である中国は経済の伸び悩みにより大幅に減少しており、先進国市場についても減少基調にある。

 19年の世界のハンドセット(スマートフォン+フィーチャーフォン)の出荷台数は、メーカー出荷台数ベースで16億8721万5000台(前年比97.8%)で、そのうちスマートフォンの出荷台数は13億7259万台(同96.8%)だった。スマートフォンは、新興国での需要は拡大傾向にあるものの、先進国では頭打ちとなっており、また中国での需要が急速に落ち込んでおり、横這いから減少基調となった。

 20年の世界のハンドセット出荷台数は14億7040万台(前年比87.1%)で、スマートフォンの出荷台数は12億496万台(同87.8%)を見込んでいる。市場は頭打ち感が強いのに加え、COVID-19の影響でとくに第2四半期(4-6月期)に端末出荷、販売が大きく減少しており、第3四半期(7-9月期)以降には市場が動き出したものの、減少分を取り返すには至らず、大きく減少する見通し。

 多くの国々で外出自粛となるなかでも、携帯電話サービス、データ通信サービスの利用はSNSやゲーム、動画配信のサービス利用拡大を背景に比較的堅調にある。一方で、20年第1四半期(1-3月期)後半と第2四半期(4-6月期)は多くの通信事業者がオンラインでの事務対応を進めたものの、販売店への来店者数が急減したため、新規契約や端末販売は大きく減少した。

 携帯電話端末市場についても同様で、需要が急減したことに加え、工場の操業停止などにより部品調達が遅れ、製造の遅延が発生した。その結果、年末商戦向け新製品の発表を遅らせる端末メーカーも出ている。また、新製品の販促活動はオンライン中心となり、実機を手にする機会が減少している。

 20年のスマートフォン世界市場はもともと、市場の頭打ち感が強く、大きな増加が期待できなかったなかで、COVID-19や米中摩擦の影響により、大きな打撃を被る見通し。とくに、COVID-19の影響で世界経済が停滞した結果、スマートフォンの製造、流通が停滞し、需要も減退した。その結果、20年はほぼすべての端末メーカーが前年割れを余儀なくされると見ている。

 21年以降に世界経済が再び活性化すれば、それに付随する形で携帯電話サービス契約数も緩やかに回復する見通し。しかし、通信事業者各社は新規契約時の本人確認を強化しており、増加ペースは鈍化していくことが見込まれる。

 スマートフォンについては、普及価格帯の製品にも5G対応が急速に進む見通し。そのほか、ディスプレイの大画面化や折りたたみ製品の導入、複数カメラモジュールや高画質撮影機能の搭載といった性能向上が図られているものの、ほかのスマートデバイスとの連携をはじめとする、5G時代に即した製品開発が求められていくとしている。