ServiceNow Japanは10月8日、同社が提供するPaaS「Now Platform」の最新版「Rome」を発表した。新しいビジネスモデルの進展や従業員の疲労危機管理、企業全体の自動化の推進、アプリ開発の強化など、ハイブリッドワークの課題を解決し、新しい企業の働き方を支援する新機能を追加しているのが特徴だ。
原智宏執行役員
原智宏・執行役員ソリューションコンサルティング事業統括本部部長は、「ハイブリッドワークの世界へ」がRomeのキーワードになっていると説明した。その上で、新型コロナウイルスの感染拡大や自然災害への対応など、激変する社会変化が企業の在り方に大きな影響を与えていくとの考えを示し「不確実な世界への適応力が、企業の競争力の源泉の一つになる。われわれは、ハイブリッドな働き方の中で企業のビジネスプロセスがデジタル化し、その恩恵をさらなる生産性向上などにつなげ、企業全体のスループットを引き上げる世界観を目指している」と語った。
さらに「柔軟な働き方のサポートと、変化に対応しながら新しいビジネスを創出するためのデジタル化が必要になっており、IT部門には新たな役割が求められている」と指摘し、これらをサポートしていくために「洗練された体験をすべての従業員へ」「AIをあらゆるサービスオペレーションへ」「期待値を遙かに超えたサービス体験をお客様へ」の三つのメッセージをRomeのコンセプトに据えたとした。
Romeの主な新機能では、従業員向けとして、ハイブリッドワークを実施する企業が従業員のデジタルコマンドセンターとして活用できるポータルページ「Employee Center」や、従業員の入社や異動、退職を管理できる「Employee Journey Management」を提供する。また、ServiceNowアプリケーションを活用して自動化できる作業のうち、優先順位の高い10件のケースを提案する「Automation Discovery」や、モバイルアプリを迅速に構築、設定できる「Mobile App Builder」、ノーコード/ローコード開発機能を拡張させた「市民開発プラットフォーム」などもある。インダストリーソリューションは、製造とライフサイエンスを新たに追加した。
原執行役員は、今後の展開について「日本ではこれまで、サービスプロバイダーや通信事業者から大きなビジネスをいただいており、その部分の活用は今後も後押しできる。それに加えて、金融機関や大手製造業での活用も非常に進んでおり、Romeのリリースによって、それをさらに進めていきたい」としたほか、活用の広がりが見えている自治体向けのビジネスのさらなる拡大を目指す考えも示した。
また「従来はITサービスマネージメントを中心としたIT部門の運用変革のサポートがわれわれのビジネスのポートフォリオとして非常に大きかったが、今後はIT部門の外側でのソリューションの活用をサポートする機能を拡大していく」とし、パートナーとの関係では「インダストリーごとにパートナーと話を始めている。具体的には、金融や通信事業者向けの領域で、われわれのインダストリーソリューションをビジネスのコアにしていくというパートナーが複数いる。インダストリーソリューションによって、パートナーとの連携はさらに深まっていくはずだ」と話した。(齋藤秀平)