スーパーストリームは、財務会計・人事給与統合パッケージ「SuperStream-NX」のインボイス制度対応版の提供を6月1日に開始する。取引先から受け取った適格請求書(インボイス)の入力や保管を支援するアップデートを行い、製品の標準機能として提供する。インボイス制度導入まではまだ1年あまりの期間があるが、いち早く制度に対応することでユーザーの円滑な移行を促していく。
(日高 彰)
消費税の仕入税額控除の要件として、税務署の登録を受けた事業者(適格請求書発行事業者)が発行する「適格請求書(インボイス)」の保存を義務づける、インボイス制度が来年10月1日から導入される。
制度導入以降の商取引において、適格請求書発行事業者となった売り手側は、事業者名、登録番号、正確な適用税率や消費税額などを記載したインボイスを交付し、その写しを保存することが必要となる。一方の買い手側は、自社の売り上げに関して、顧客から受け取った消費税から仕入時に支払った消費税を差し引いて納税する仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として取引先から受け取ったインボイスの保存などが求められる。
木下昭彦 取締役
スーパーストリームで企画開発本部の本部長を務める木下昭彦取締役は、同社製品のユーザーもインボイス制度には非常に高い関心を持っているが、「その準備に関しては、何をどのように、どういうステップで実現しなければならないかわからない、検討が大変だ、という声を聞いている」といい、現場の業務プロセスにどのように落とし込むか、多くの企業ではこれから対応に追われる段階という見方を示す。
同社が6月から提供するインボイス対応版では、SuperStream-NXの製品群のうち「統合会計」や「固定資産管理」で、まずは買い手側の業務を支援する機能を追加する。受け取ったインボイスを基に支払伝票を入力する際の税額計算機能などを搭載したほか、仕訳データと紐付けてインボイスを保存・管理することが可能となっている。また、第二段階として売り手側に対応した機能拡充を行い、インボイスの要件に沿った請求書、支払通知書などを発行できるバージョンを12月に提供する予定。
来年10月のインボイス制度導入まではまだ1年4カ月の期間があるが、木下取締役は「お客様により具体的なイメージをもっていただき、計画的に安心して法対応に準備いただくため、この段階で他社に先駆けていち早く(制度に対応した)製品をリリースしていく」と述べ、製品投入のタイミングは戦略的なものであると説明する。
その背景には、今年1月施行の改正電子帳簿保存法がある。本来であれば今年から、電子取引においては取引情報を電子データで保存することが義務化される予定だったが、多くの企業で対応が遅れる中、急きょ2年間の猶予期間が設けられることになった。インボイス制度でも同じような混乱が発生するのを見越し、ユーザーに十分な準備の時間を提供することが、製品に対する評価につながると判断した。
村松 昇 社長
村松昇社長は、SuperStreamの累計導入社数が今年3月に1万社を突破したことを紹介するとともに、「ERP市場は年10%弱成長していると見ている」と話し、今後も成長が見込めるとの考えを示した。これまで同社製品ユーザーのボリュームゾーンは中堅企業だったが、ERPではより大きな企業をターゲットとする領域のほうが競合ベンダーが少なく、同社製品にとってもポテンシャルのある市場と捉え、より大規模なユーザーの獲得に力を入れていく。