オールフラッシュ型ストレージを提供するピュア・ストレージ・ジャパンは、6月9日に記者発表会を行い、米国で開催した同社の年次イベント「Pure//Accelerate techfest22」での発表内容を国内向けに説明した。ソフトウェアおよびサービスをサブスクリプションで提供し、ハードウェアはユーザーが購入する新しい利用モデル「Evergreen//Flex」を開始するほか、従来品に比べて容量密度、性能、電力効率が向上した新たなストレージ製品「FlashBlade//S」を投入する。
(左から)田中良幸社長、藤井洋介・市場開発本部本部長、
関根悟・FlashBladeジャパン・テリトリー・マネージャー
Evergreen//Flexは、ソフトウェアとサービスは使用量に応じたサブスクリプション形式で利用し、ハードウェアはユーザーが所有する、クラウドライクな契約とオンプレミスの資産を組み合わせた運用モデル。ソフトウェア費用の初期支出を抑えながら、ハードウェアはユーザー自身の手で所有、管理できるのが特徴となっている。藤井洋介・市場開発本部本部長は、ハードウェアとソフトウェアのすべてを買い取る形態に比べ、Evergreen//Flexが「かかるコストの見える化と、最適化が可能になる」と語った。
また、ユーザーが複数台のストレージを所有していて、その内の一つのストレージに負荷や需要が集まる場合、あまり使われていないストレージからサブスクリプションのデータ容量を移植できると説明。これにより資産の使用量、使用率の最適化が図れるとした。
ピュア・ストレージではこれまで、ユーザーがストレージのハードウェアおよびソフトウェアを購入し所有する「Evergreen//Forever」(Evergreen Goldから改称)と、ハードウェアの所有権はピュア・ストレージが持ち、ユーザーは完全に従量課金でストレージサービスを利用する「Evergreen//one」(Pure as-a-serviceから改称)を提供してきた。今回のEvergreen//Flexの提供で、中長期的に見たときに無駄になるコストを省きたいなど、より幅広いユーザーのニーズに応える。田中良幸社長は「ストレージのイノベーションを起こすことができている。その転換点がEvergreen」と語り、Evergreenのさらなる拡充を図る考えを強調した。
あわせて発表されたFlashBlade//Sは、スケールアウト型のファイル/オブジェクトストレージで、従来品の「FlashBlade」に比べ容量密度や性能、電力効率の面でそれぞれ2倍に向上させた。圧縮レベルが高く効率重視の「S200」と、高速で性能重視の「S500」をラインアップしている。
FlashBlade//S
また、NVIDIAと共同で、AI対応のITインフラ「AIRI//S」を提供することを発表した。FlashBlade//Sと、NVIDIAのGPU搭載サーバー「DGX A100」およびネットワークスイッチ「Spectrum」を組み合わせたもので、AI開発におけるITインフラ導入・運用管理の手間を削減できる。(大畑直悠、大向琴音)