ノーコードツールを提供するベンダーやSIerなど7社は9月1日、「ノーコード推進協会」を設立した。中堅・中小企業をはじめとした国内での利用拡大に向け、情報発信や普及啓発に取り組む。8月31日にオンラインで行われた設立発表会見では、代表理事に就いた中山五輪男・アステリアCXOらが、内製化の促進によるデジタル変革の加速へ意欲を示した。
(藤岡 堯)
中山五輪男 代表理事
協会はアステリア、サイボウズ、船井総研デジタル、INDUSTRIAL-X、シムトップス、セゾン情報システムズ、ウイングアーク1stの7社で発足。今後はユーザー企業や販売パートナーなどを含めて会員を拡大し、2022年末までに30社、23年に100社程度を目標とする。有力な海外ベンダーの参画も決定しているという。
活動については、国内外のノーコードに関する情報の収集・提供・共有、ノーコード思考やノーコードツールの普及啓発活動、ノーコード製品を活用する業種・業態・領域の拡大などを挙げる。具体的には「ノーコード白書」などの出版、イベントやセミナー開催、「日本ノーコード大賞」の実施、カオスマップ作成、SNSなどでの情報発信、マーケティング施策の展開などを予定する。テーマ別のワーキンググループも立ち上げ、会員企業のコミュニケーション促進にもつなげる。
会見で中山代表理事は、中堅中小企業において、IT人材の不足がデジタル化を停滞させる要因になっていると指摘。この課題に対し、ノーコードによる開発が解決策になるとの見方を示し「ノーコードこそ日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)を救う」と力を込めた。
システムやアプリ開発において外部ベンダーに丸投げする考え方にも疑問を投げかけ「ノーコードを広め、日本のソフトウェア文化を大きく変革し、強いデジタル国家にしたい」と訴えた。
副代表理事を務める青野慶久・サイボウズ社長は、日本は現場業務を熟知した人材が豊富であるとし「現場で頑張る人たちにノーコードツールを与えることで、デジタル人材化していく。これが日本型のDXになる」と訴えた。その上で、ノーコードに親しんだ人材が、スキルアップすることで、より高度な人材の輩出にもつながると期待した。
同じく副代表理事に就任した森戸裕一・日本デジタルトランスフォーメーション推進協会代表理事はビデオメッセージを寄せ「ノーコードは、自治体や中小企業での導入検討が進んでいる。推進協会の役割はどんどん高まっていく」と意気込んだ。
発起人を代表してあいさつした平野洋一郎・アステリア社長は、デジタル化が進んでいない企業こそ、ノーコードを活用することで「リープフロッグ」(一足飛びに新技術が浸透する現象)が実現すると強調。「世界に対して遅れている状況を一気に飛び越し、デジタルを企業競争力とする。その源泉がノーコードだと確信している」と語った。
会見では、デジタル庁の村上敬亮・デジタル統括官による応援メッセージ動画が流され「ソフトウェアをつくる作業を抽象化し、ユーザーフレンドリーにしていくことは時代の方向性だ。個人としても、デジタル庁としても、ノーコードを重要なアプローチとして進める志に強く共感している」と激励した。
9月29日には、活動の第1弾として「ノーコード全盛時代の幕開け」と題した協会設立セミナーを開催する。