NTTコミュニケーションズ(NTTコム)が、NTTドコモの傘下で法人事業ブランド「ドコモビジネス」を立ち上げてから約1年が経過した。NTTコムの丸岡亨社長は「想定以上に事業統合が順調に進んでいる」と手応えを感じている。従来のNTTコム単体では大企業中心のビジネスだったが、中堅・中小企業を含め幅広い顧客層を持つドコモの法人事業が加わったことで、「より広範囲に法人ビジネスが展開できるようになった」と相乗効果が出始めていると話す。
丸岡 亨 社長
ドコモビジネスの布陣は、データセンターやクラウドを強みとするNTTコムと、大規模アジャイル開発をはじめとするソフト開発を手がけるNTTコムウェアがNTTドコモの傘下に入り、3社の法人向けITビジネスをドコモビジネスのブランドのもとで統合。ドコモの法人担当5000人余りがNTTコムに移ったことで、NTTコムの従業員数は約1万6000人に増えた。「全国の支社オフィスにドコモビジネスのメンバーが集まり、一つのチームとしてのマインドが高まっている」(丸岡社長)と結束力を強調する。NTTコムウェアとはアジャイル開発を中心に協業を深める。
注力する領域として、5Gを活用したエッジコンピューティングや、拡張現実や仮想現実を織り交ぜたクロスリアリティ(XR)などを挙げる。5G SAと呼ばれる通信方式では、顧客企業の求めに応じて「低遅延性」や「高速・大容量」「多数同時接続」など重視すべき機能を優先して提供でき、顧客の需要に柔軟に応じられるようにする。
また、XR事業を担うドコモグループのNTTコノキューが10月1日付で事業をスタート。ゲームなどではすでに馴染み深いXR技術だが、「NTTコムとしては、XRを企業向けにどう事業化していくのかが、改めて考えていく」(丸岡社長)としている。例えば、在宅でコールセンター業務に従事するオペレーター向けに仮想職場を構築して孤立感を軽減したり、小売業向けに今の仮想店舗をより見栄えがよく、臨場感を感じられるものに拡張したりするといった用途を想定する。
注力領域を足掛かりにドコモビジネスに弾みをつけ、「早い段階で具体的な成果を出していきたい」(丸岡社長)と意気込む。
(安藤章司)