PFUはリコーブランドに切り替えて初めてとなるドキュメントスキャナの新製品を発表した。リコーグループの経営戦略に沿って業務システム全体のエッジデバイスとの位置付けをより明確にした。新製品は「RICOH fi-8040」で、4月6日に受注を開始、5月17日から国内外で順次出荷を始める。PCに接続せず読み取ったデータを直接ネットワークやストレージに送れるようにするなど、従来のPC周辺機器ではなく、紙文書をデジタル化し、業務システムにつなぐエッジデバイスの性格を強く意識した設計にしているのが特徴だ。
fi-8040は読み取ったデータをネットワーク上にあるストレージや電子メール、ファイル転送サーバーにPCを介さず直接送れるとともに、スキャナの液晶画面にあらかじめ送付先を設定しておくことで「画面上のボタンを押すだけで送付先にデータを送れる利便性を重視した」と戦略室商品戦略部の笠嶋裕介・fi戦略課課長は話す。今年10月をめどにfi-8040のファームウェアを更新することで、業務アプリやクラウドサービスとのデータ受け渡しを容易にするPFUのサーバーソフトウェア「PaperStream NX Manager」との接続も予定している。
笠嶋裕介 課長
リコーグループでは、独自の業務システム基盤「RICOH Smart Integration(RSI)」を開発し、その上に文書管理や電子保管、ワークフローなどのアプリを構築している。複合機やドキュメントスキャナはこうした業務システムの入出力を担うエッジデバイスと位置付けており、今回出荷を始めるfi-8040もそうした戦略に沿ったものに仕上げている。
村上忠夫 課長
主な販売ターゲットは、本社と支社支店など離れた場所で紙やファクスをやりとりしているケースの電子化や、自治体や病院といった紙文書が多くやりとりされる業種を想定している。支社支店、営業所で発生した伝票を現場でスキャンし、所定のストレージやメール送信先、業務システムへとfi-8040から直接送ることで、「紙の伝票を輸送したり保管したりするコストやファクスで送られてきた伝票を経理部門がデジタル化するといった二度手間をなくし、効率化が期待できる」と、fi/DynaEye販売推進部の村上忠夫・fi/DynaEyeプロモーション課課長は話す。
村上課長は「社外とのやりとりでは、取引先の都合でファクスや紙が残るケースは今後もあり得るが、本社と支社支店、自治体の本庁と支所など同一組織内でファクスを使う合理性はない」と、外部から受け取った紙文書を現場でいちはやくデジタル化し、ネットワークに乗せる用途でfi-8040は威力を発揮すると話す。
PFUではfi-8040について向こう3年で従来機の2倍の販売台数を全世界で見込んでいる。(安藤章司)