クラウドのコンテンツ管理プラットフォームを提供する米Box(ボックス)の日本法人であるBox Japanは、好調な日本市場でさらなるシェア拡大に向けて、従業員規模500人程度までのSMB向けの販売を強化する。販売代理店とのやり取りをスムーズにするため、新たな営業支援ツールも導入。代理店の営業を同社の営業部隊がサポートし、連携を強めることで、これまで浸透していなかった業種への販売を加速させたい考えだ。
同社は2013年に日本市場に進出し、これまでエンタープライズ企業を中心に1万5000社と契約。23年1月末までの1年間ではグローバルの売上高のうち19%を日本市場が占めるなど、国内でシェアを拡大している。すべてが代理店経由の間接販売で、販売パートナーは約300社。
佐藤範之 専務執行役員
これまでの顧客に比べて事業規模が小さいSMBへの拡販について、佐藤範之・専務執行役員は「当社のソリューションは、サプライチェーンを通じて多くの企業に波及する特徴があり、SMBのお客様にも届き始めている」と現状を説明。「より効果的に製品を販売していくためパートナーとの連携を深め、販売先を開拓していく」と述べた。
新たなパートナー支援策として、営業支援ツール「Hiway(ハイウェイ)」を6月に導入した。ハイウェイはパートナービジネスを円滑に進めるためのソリューションで、Boxと代理店の双方が持つ顧客リストを自動で照合し、確度の高い営業先の洗い出しが可能。双方のリストを目視で照らし合わせる作業がなくなり、大幅な工数削減につながる。また、プラットフォーム上でコミュニケーションが取れるため、Box側からの営業サポートも効果的に行えるとしている。代理店側に費用負担はない。佐藤専務執行役員は「新しいツールでパートナー関係をより強化していくことができる。SMBへの拡販でも効果が高い」とした。
今後、注力する業種として、官公庁や自治体、金融、医療機関を挙げた。いずれもITソリューションの利用に関して国の規制が厳しいこともあり、これまで開拓できなかったが、「必要な認可を取得し、提案できる体制が整った。これらの領域は特に代理店の役割が重要になってくるので、パートナーと協力して開拓したい」(佐藤専務執行役員)。今後3年間で、他の業種と同等の3割程度のシェアを目指していく考え。
エリア別では、東京、大阪圏は好調で、今後は名古屋を中心とした中部エリアなどに営業人員を多く割いていく方針。地方自治体や地銀は、特にパートナーに期待する領域だという。佐藤専務執行役員は「地方は当社単体のリソースではカバーしきれない。代理店とともに攻めていきたい」として、エリアを広げた販売拡大も目指していく方針だ。
(堀 茜)