システム障害の対応支援SaaSを開発する米PagerDuty(ページャーデューティー)の日本法人は、間接販売チャネルの拡充に力を入れている。直近の販売パートナーは東芝デジタルソリューションズやクラスメソッドなど4社体制だが、主力製品の「PagerDuty」を自社に導入しているSIerをはじめ「10社余りから問い合わせがきている」(日本法人の山根伸行社長)と、販売パートナーを増やす段階にきているという。
山根伸行 社長
同社は2009年に創業し、日本法人は昨年開設したばかりで国内の間接販売の販路が限られていた。「パートナー経由での販売を伸ばしていくことが今後の重要指標の一つ」(同)と位置付ける。
ページャーデューティーは障害発生時に保守担当者に連絡したり、運用管理システムから上がってくる通知をAIで重要度順に振り分けたりするSaaSを開発しており、PagerDutyは「JP1」や「New Relic」「Datadog」といった主要なシステム運用管理ソフト約700種類と連携して使うことができる。国内ユーザー数は約430社で、NTTデータや伊藤忠テクノソリューションズ、アイレットなどシステム運用を請け負うSIerが導入しているケースも少なくない。「自社利用の実績を踏まえ、ユーザー企業にもおすすめしたい」(同)との声が寄せられている。
ある国内大手通信キャリアでは、SMSや「Slack」、電話、「Teams」、チャットアプリなど担当者が常時使っている連絡先に的確に連絡を入れることで、担当者と連絡が取れるまでの時間を3分の1程度に短縮。また、運用管理システムからの月間約1万件の通知件数をAIで重要通知に絞り込んだことで約10分の1に圧縮できた。
ほかにもPagerDutyでは障害復旧の手順を自動化したり、B2C企業を念頭に障害対応の状況をリアルタイムに消費者に知らせたりする仕組みなどを提供している。
グローバルでの昨年度(23年1月期)売上高は前年度比31.8%増の3億7079万ドル(約520億円)で、本年度は20~22%増を見込んでいる。国内は“成長市場”との位置づけから「グローバルより高い伸び率を目指す」(同)考え。
(安藤章司)