クラウド型のコンテンツ管理プラットフォームを提供する米Box(ボックス)のアーロン・レヴィ共同創業者CEOが8月8日、都内で報道陣向けのラウンドテーブルを開催した。同社日本法人が設立から10周年になるのに合わせて来日。売り上げ好調な日本が重要な市場であることを強調したほか、AI戦略について、5月に発表した「Box AI」に注力する考えを説明した。
アーロン・レヴィ CEO
レヴィCEOは、日本市場について「グローバルで最も成長したのが日本で、日本企業のイノベーションを支援できた」と参入からの10年間を振り返った。同社日本法人のBox Japanの年間経常収益は9期連続で伸びており、国内の顧客数はエンタープライズを中心に1万5000社、グローバルに占める売上比率は19%に上る。販売パートナーは300社以上で、今後はSMBにも拡販を目指す方針を示している。
レヴィCEOは、グローバル、日本市場ともに、顧客が求めるのは、▽データセキュリティ▽生産性向上▽コスト削減―の3点だと説明。これらの課題を解決するには、企業内のデータを活用する必要があるが、企業が保有する80%が非構造データで活用されていないと指摘し、「データ活用にはAIの力を使うことが必須だ」と述べた。
Box AIは、米Open AI(オープンエーアイ)の大規模言語モデル「GPT-3.5」「GPT-4」を利用するサービス。企業は、自社が持つデータに関する質問について回答を素早く得ることができるようになり、コンテンツのレビューや情報の要約に活用できる。
レヴィCEOは、Box AIを使って日本語の経済レポートを英語で要約し、メールを書くデモを紹介し、「インターネット上にある情報を使うのではなく、企業が既に持っている情報を使うのがポイントだ」とデータの安全性をアピール。6カ月以内をめどにリリースしたいとし、AIを活用し顧客サービスを充実させていく方針を示した。
(堀 茜)