富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、会計ソフトや営業支援、ワークフローなど主要な業務アプリと連携するクラウド型ワークスペース「FUJIFILM IWpro(アイダブリュプロ)」の販売を11月6日から始める。中堅・中小企業ユーザーがよく使っている業務アプリをつなぐことで、日常の仕事を定型化し、効率化するのが狙い。ワークスペースを会社組織全体で共有することができ、これまで見えにくかった仕事を可視化。属人性をなくしていくことで、「既存システムを活用しつつ、より効率的な業務プロセスに変革できる」(阪本雅司・取締役専務執行役員)としている。
(安藤章司)
阪本雅司 専務
IWproは基幹系や営業支援系、ワークフロー、電子署名、オンラインストレージなど中堅・中小企業がよく使っている業務アプリを連携させ仕事を進められるワークスペース。発売時には15種類のアプリと連携し、段階的に30種類余りに増やしていく予定だ。業務アプリに閉じて行っていた作業をIWproのワークスペースから見えるようにするとともに、外部から紙や電子メール、ファクスなどで入ってきた文書をワークスペースで整理して業務アプリに受け渡す用途などを想定している(図参照)。
ワークスペースでは、定型業務を登録することができ、例えば▽文書の受け取り▽担当者や関係者による確認▽業務アプリへの転記▽取引先への送信▽保存―などの一連の業務フローを定義。閲覧権限があるユーザーは当該書類がいまどのような状態なのか一目で分かるようにした。「担当者個人や、特定の業務アプリ内で閉じていては、属人化が進んでしまったり、業務プロセス全体の見直しや効率化の妨げになったりする」(阪本専務)ことから、オープンなワークスペースで仕事の進み具合を可視化し、プロセス改革に役立つツールとして売り込んでいく。
仕事の流れを定義し、定型化する手法は、富士フイルムBIの主力ソフト「DocuWorks」で培ってきたノウハウを応用している。DocuWorksはユーザーが文書処理を行う際の作業スペースが基本にあり、クラウド版の「DocuWorks Cloud」では、ほかユーザーとの共同作業の機能を拡充。今回のIWproでは主要な業務アプリとクラウド上で連携することで企業組織全体のワークスペースへと発展させている。
販売については、富士フイルムBI独自のITソリューション体系「Bridge DX Library」と同様に、直販とビジネスパートナー経由で進める。IWproと他社業務アプリとはクラウド上で連携するため、つなぎ込みの作業は不要だが、ユーザー企業の仕事の流れの定義や、業務プロセスの見直しといった業務改革コンサルティングによる支援が必要なケースはあるとみている。連携する業務アプリは普段から直販やパートナー経由で販売する商材が多く、この知見をフルに生かしてIWproの販売に努め、2027年度までに国内1万社の獲得を目指す。
発売当初は日本語版と英語版を揃え、アジア太平洋地域の英語圏でも販売する。順次、韓国やタイなどの言語に対応していく予定だ。IWproの名称は、業務プロセスを構築する“インテグレーテッド・ワーキング・プロセス”から着想を得た。